世界的なサイクリングスポットとして知られる「しまなみ海道」。その道中には、今治市に最も近い大島があります。
この大島には、しまなみ海道の絶景スポットとして有名な「亀老山(きろうさん)展望公園」があり、本格的なヒルクライムを楽しめるとして、多くのサイクリストが挑戦していますね。
本格的というだけあって、気軽に行けるような場所ではなく、かなり手強いコースだ。けれど、頂上まで上り切った後には、絶景と藻塩アイスのご褒美が待っているので、ぜひチャレンジしてみよう。
本記事では、亀老山展望公園へ自転車で行きながら、ヒルクライムコースと絶景スポットを紹介します。
亀老山展望公園とは
亀老山展望公園は、瀬戸内海に浮かぶ大島(愛媛県今治市)の南部に位置し、標高307.8mの亀老山山頂に整備されています。
園内には立体的な亀老山展望台が造られており、そこから来島海峡大橋と瀬戸内海の美しい島々が織りなす風景は、しまなみ海道でも随一。さらに四国八十八景の57番に選定されている。
また、日没後には来島海峡大橋がライトアップされることもあり、今治市街の夜景と共に昼間とはまた違った景色を楽しめます。
展望台へ向かう道の途中には、こちらの大きなカメの石像がお出迎えしてくれました。実はこのカメは、亀老山の名前の由来ですよ。
今から1,300年前ほどに、旅の風来僧が大島の洞窟で光り輝く黄金色の観音像を背負った大亀を見つけたという。その後、山の上に七堂伽藍を建立して、その観音像を崇拝したそうな。その山は「亀老山」と名付けられた言われています。
このカメをじっくり見てみると、頭の上にお賽銭を見つけました。なるほど、言い伝えにより神格化されているのかも知れませんね。
【周辺の見どころ】
亀老山展望公園周辺の見どころを、下記記事で紹介します。
亀老山展望公園までのコースと所要時間
亀老山展望公園は、国道317号線の亀山交差点から分岐した道からスタートします。
約3.7kmほどの坂道が続き、山頂へ近づくほど勾配が大きくなる。コースのスペックは以下の通り。
標高 | 307.8m |
走行距離 | 3.7km |
平均勾配 | 8% |
最大勾配 | 15% |
ヒルクライムの実力次第で所要時間は変わってくるので、片道で30~60分ほどは見ておこう。
尾道駅からしまなみ海道を自走して、亀老山展望公園へ向かうとなると、すでに70km近く走っていることで、疲労度もそれなりにある。そのような状態でのヒルクライムは、たとえ上級者でも厳しいものがあるだろう。
特に初心者には、ハッキリ言って試練です。コース全てを自転車で走るのではなく、キツクなれば自転車を手押しするのが無難ですね。
こちらが亀山交差点から亀老山展望公園までのコースです。
亀老山のヒルクライムコースを紹介
自転車で亀老山展望公園へ向かう様子を紹介します。
「亀山交差点」から前哨戦が始まる
しまなみ海道のメインルートである国道317号線を走り、亀山交差点へ向かおう。この交差点を今治側から来たならば右折し、尾道側から来たならば左折する。
すると、道の端には「亀老山展望公園 3.7km」と書かれた案内板があるので、案内板の指示通りに進みます。
ここからが実質的なヒルクライムコースの始まり。5%前後の勾配が約800mほど続きますね。しかし、これはあくまで前哨戦ですよ。ここでギブアップするならば、この先は絶望的だ。
道なりに走っていると、自動販売機を発見。ここから亀老山山頂まで飲み物を買えるところがないので、注意するように。もしドリンクを忘れていたならば、自動販売機で買うか近くのコンビニまで戻りましょう。
道なりに進むと「亀老山入口50m先入口」と書かれた案内板が見つかります。この位置から前を眺めると、道が左右に分岐しているのが分かるので、50mほど進み右折しよう。この分岐点にも案内板が立っているので見逃さないように。
分岐点まで辿り着いたら、よいよ本格的なヒルクライムが始まります。
林道「亀老山線」の起点から本番
分岐点には、こちらのカメのデザインが描かれた案内板が立てられていました。
また、ここが林道「亀老山線」の起点ですね。ここから亀老山展望公園の駐車場までは、今治市が管理する林道ですよ。
林道というと、整備されていない道路を思い浮かべる人もいると思いますが、そんなことはなく、道幅も広くて完全に舗装されているので自転車でも走りやすい。
林道の説明板があるので、注意事項を一読しておこう。上りではそれほどスピードが出せないと思いますが、ブラインドのカーブが連続するので出会い頭に気を付けて下さいね。
実際、私がヒルクライムをしている最中では、自転車だけでなく8~10台ほどの車や観光バスが通行しました。下を向いたまま自転車を運転していると、車に気が付くのが遅れる可能性があります。
路面に目を向けると、「WELCOME TO KIROSAN・・・」の文字がペイントされているではないですか。
く~、こういうのを見るとテンションが上がるというものだ。これはサイクリストの性(さが)といえるのでしょうかね。
劇坂の一本道をひたすら上る
起点から始まる本格的なヒルクライムの当初は、畑や果樹園の風景が見て取れます。しかし、前に進むにつれ、勾配がキツクなり、風景を楽しむ余裕がなくなるだろう。
しばらく坂道を上っていると、沿岸に黄色の標識を発見。その標識には「頂上までの残り距離」と「勾配の大きさ」が表示されていました。
平均勾配が5~9%と表示しているを見てしまうと、思わず唸ってしまう。5%と9%では全く影響度が違ってくるからだ。
この標識は、頂上まで残り2.5km・2km・1.5km・1kmの地点で立てられており、表示された平均勾配が一緒でした。
特にカーブの内側は結構キツイ勾配です。だからといって、蛇行しながら上るのはやめた方がよい。というのも、頂上からダウンヒルしてくる自転車がいたり、車の往来があるからだ。
先ほども触れましたが、私が訪れたのは土曜日だったためなのか、車の往来がそれなりにありました。
このコースは、ずっと上り道が続き、一旦平坦路や下り坂になることはありません。なので、我慢してゆっくりと上って行こう。
黄色の標識以外にも、こちらの「藻塩アイス」を宣伝している看板も見かける。こちらの看板も複数個所に立てられているよ。
山頂にある亀老山展望公園では、亀老山売店が営業しており、そこで藻塩アイスが売られています。ヒルクライム後に食べる藻塩アイスは、凄く美味しい。
以前、亀老山ヒルクライムをチャレンジした時は、いつの間にか「絶対、藻塩アイス食べるぞ!」の信念で上っていましたね。(笑)
また、道中には「へんろ道」と刻まれた石柱をたくさん目撃しました。大島には、四国遍路のお寺や庵があり、亀山交差点の近くには高龍寺があります。
今でもこの林道にある巡礼の道が使われているのかは分かりませんが、どうなんでしょうかね。
果樹園の風景を抜けると竹林が見えてくる。うん、中々いい感じ。
中腹あたりまで上ると、沿岸に「村上義弘公墓入口の看板」を見つけました。林の中を歩いていかなければならないため、スルーすることに。
後から調べてみると、能島村上水軍の祖とも言われる村上義弘公のお墓(村上義弘供養塔)と島四国34番札所の妙法堂があるそうなので、興味がある方は立ち寄ってみてはいかがですか。
ヒルクライムにチャレンジしている人をたくさん見かけた。その姿に勇気をもらえる。中には自転車を手押しして歩いている人も見かけました。うん、無理をしないのが正解ですね。
林道を駆け上っていると、岩の上に鎮座した小さな祠を目撃。
へんろ道もそうですが、ところどころに神聖そうな場所が点在しているので、たとえ苦しいヒルクライム中であっても見逃さないようにしたい。
頂上まで一気に上るのが困難な場合は、無理をせず休憩を入れよう。林道の途中には、車の行き違い用に路肩スペースが数ヶ所点在している。そういう場所を使えば、比較的安心して休憩できます。
【自転車のアイテム紹介】
自転車に役立つ様々なアイテムを、下記記事で紹介します。
頂上付近から勾配がさらにキツクなる
頂上まで残り1kmほどになると、ここの時点で標高約200mぐらいまで上っています。道なりに進み、ヘアピンカーブを曲がりしばらくすると、空が開けてきました。
左手側には、本来ならば眼下に美しい瀬戸内海が見えるのですが、あいにくと曇りのため、今一つでしたね。雲に覆われ遠くの方が、良く見えないのは残念だ。
さて、ここまでもキツイ勾配が続いてきましたが、よいよ最後の試練が始まります。
沿岸には、最後の黄色い標識を見つけると、これまでと勾配がちがうじゃないですか。
なんと「平均勾配が10~15%」という。初見では絶対に「これ、一体どういうこと!?」と思うだろう。
劇坂ですが頂上までは残り300mというのが救いかな。自転車で上るかどうかの判断は、最終的に自分の実力と残りの体力に相談するように。
個人的には、しまなみ海道を横断中に訪れたならば、この勾配では体力の消耗が激しいので、歩くのが賢明だと思います。
山頂へ近づくと、複数の展望台が現れました。この展望台からは、来島海峡大橋の風景がバッチリ見えますね。(くわしくは後で説明します。)
そして、この展望台がある場所を過ぎれば、よいよ山頂が見えてきます。
そして駐車場へ向けて駆け上り、ついに亀老山展望公園へ到着しました。
山頂では藻塩アイスが待っている
駐車場の奥には、亀老山売店とトイレが見えます。このトイレ横にサイクルスタンドが用意されており、自転車はこちらに駐輪しましょう。
麓から亀老山展望公園までの間には、一切トイレがありません。もし、ヒルクライム中にトイレに行きたくなったら大変なので、事前にトイレを済ませておくのが吉ですね。
ん?到着時間が遅かったためか、亀老山売店が閉店まぎわでした。これは急いで藻塩アイスを手に入れなければ。
ということで、店員に話をすると「藻塩アイスはすでに完売です」といわれ、ガッカリ。本日は訪れた人が多いみたいです。(駐車場がほぼ満杯で、観光バスもきていました。)
藻塩アイスの他にもペットボトルのドリンクやコーヒー、スイーツなどが販売されているので、ヒルクライム後に軽食を楽しめる。実にありがたい存在ですね。
ただし、営業時間には気を付けよう。また、冬季は営業していません。
亀老山展望公園は小規模ですが、ここにはお洒落なデザインの亀老山展望台が造られています。ほとんどの人が、この展望台をお目当てに訪れるだろうな。
それでは、亀老山展望台から眺めるしまなみ海道の絶景を楽しんで下さいね。
- 亀老山売店
- 営業時間 9:00~16:00
- 定休日 無休(臨時休業あり)、冬季は営業していません
亀老山から眺める絶景スポットの紹介
亀老山山頂付近にある絶景スポットを紹介します。
亀老山展望台
亀老山展望台は、日本を代表する建築家・隈研吾(くま けんご)氏によって設計されました。その立体的な独特なデザインの展望台からは、しまなみ海道の景色が360度見渡せます。
特に世界初の三連吊橋「来島海峡大橋」のような巨大な人工物が、自然と調和している風景は素晴らしいですね。
私が訪れた日は曇りでしたが、それがかえって幻想的な雰囲気を醸し出していました。
良く晴れた日には、西日本最高峰の石鎚山(いしづちさん)を含む山々が見渡せます。また、夕日の時間帯であれば、蒼い海がオレンジ色に染まる景観が現れる。
季節や時間帯によって、様々な表情を魅せてくれる風景を楽しもう。苦労してヒルクライムを達成した後であれば、喜びもひとしおです。
山頂付近の展望台
山頂付近には、林道から海側に向かって突き出た展望台が複数あります。
この展望台からは、亀老山展望台と同じく来島海峡大橋が織りなす景色が広がっている。人によっては、亀老山展望台の眺望より、こちらの方を好む人もいるだろう。それほど魅力的な景色が見られます。
亀老山展望台と比べると、少し視界が狭くなりますが、そんなのは些事レベルですよ。自転車や徒歩であれば、利便性を考えると亀老山展望台より上かもしれませんね。
できれば両方の展望台から眼下の景色を眺め、亀老山からの眺望を満喫しましょう。
亀老山展望公園の帰路はダウンヒルに注意
亀老山のヒルクライムでは、帰路が一番危ないです。
展望台で絶景を楽しんだ後、一気に山を下るダウンヒルとなるわけですが、自転車のスピードを出しすぎていると転倒してしまうかも知れません。
麓までは、ブラインドのカーブが多く、季節や時間帯によっては交通量も多いので、様々な危険が潜んでいる。
聞くところによれば、実際に下り坂での転倒事故は多いそうですよ。
路面には「Slow Down」の文字が所々にペイントされており、注意喚起していますので、気を付けてダウンヒルを楽しみましょう。
亀老山展望公園の基本情報とアクセス
住所 | 愛媛県今治市吉海町南浦487-4 |
電話番号 | 0897-84-2111(今治市役所 吉海支所) |
【アクセス】
- 今治側から:大島南ICより車で約10分
- 尾道側から:大島北ICより車で約20分
亀老山展望公園の駐車場
亀老山展望公園内には、無料駐車場があります。(普通車18台、大型6台)
まとめ
しまなみ海道をサイクリングする際に、時間に余裕があるならば亀老山展望公園へ訪れてみよう。
標高307.8mの山頂に至るまでは、本格的なヒルクライムコースが待ち構えている。自転車では決して気軽に行ける場所ではありませんが、それでもチャレンジする価値があります。
園内に造られた立体的な亀老山展望台の眺望は、しまなみ海道でも随一。特に自転車で苦労して上り切った後の景色は感動的です。