ロードバイクに乗り慣れてくると、バイクの性能アップに興味を持ち始めます。
たとえば「今より坂道を楽に上りたい」「平坦路で加速や減速を今以上にスムーズにしたい」など様々な欲求が芽生えてしまうものですね。
その結果、ロードバイクの軽量化を始める人は少なくありません。そこで、いざパーツのアップグレードを図るに当たり、何から交換すればよいのか悩みませんか。
できれば効果が実感しやすいパーツから交換していきたいものです。
本記事では、ロードバイクの軽量化を行なう際、効果が高くコスパのよいパーツ交換について説明します。
ロードバイクの軽量化でコスパのよいパーツとは
本格的なパーツ交換を始める前に見直しておきたいのが、ロードバイクの装備品(アイテム)です。
具体的にいえば、サドルバッグやフレームバッグなどのバッグ類やその中身、さらにボトルケース(またはボトル缶)の中身を整理し、不要なものをのぞきましょう。
また、バッグやボトルケース自体をより軽量コンパクトにできないのか見直すとよいです。これだけでも数100gの軽量化は簡単にできます。
さて、パーツ交換を行なうのにあたり、事前に知っておきたいことがある。それは、軽量化がしすぎると耐久性が低下し、壊れやすくなるので注意したい。
というのは、軽すぎるパーツというのは、素材自体の耐久性が低かったり、使っている素材の量が少ないものですね。たとえば「クロモリ(鉄)」と「カーボン」を比較すると、明らかにクロモリの方が頑丈ですよ。
つまり、軽量化と耐久性は反比例するということ。さらに軽量化には、結構コストがかかります。
パーツの中には、費用対効果の高いものがありますが、反対にコストをかけた割には軽量化を実感しにくいパーツも存在しますね。
冒頭でも触れましたが、コストをかけるには、効果を実感しやすいパーツから交換しよう。
そこで、コスパよく軽量化に適するパーツと交換すべき順番を以下にまとめました。
- 足回りのパーツ(ホイール・タイヤ・チューブ)
- サドル・シートポスト
- ペダル
- ハンドル・バーテープ・ステム
- コンポーネント
- その他のパーツ(チェーン、ボトルなど)
軽量化を突き詰めていくと、ネジ類も対象になってきます。鉄のネジをステンレスやチタン製に変えるだけでも軽量化につながりますが、個人的には「そこまでする必要はないのでは?」と思っていますね。
また、フレーム自体を軽量化するという手があるのですが、それはもう軽量化というより、新しいロードバイクの組み立てと何も変わらないので本記事では除外しました。
それでは、それぞれのパーツ交換について説明します。
足回りのパーツ(ホイール・タイヤ・チューブ)
もっともパーツ交換で効果を体感できるのは、足回りのパーツです。
足回りのパーツには、ホイールやタイヤ、チューブがあり、回転して力を地面に伝えるため、他のパーツと比較して2倍の効果があるといわれています。
特にホイールの軽量化が、ダントツに効果を得やすいので、予算に余裕があるならばホイール交換から行いたい。しかし、予算に余裕がないのであれば、タイヤ交換から始めるのがコスパが抜群によいですね。
エントリーモデルのロードバイクを購入すると、よく鉄下駄と表現されるホイールセットが付いている。そのホイールの重量は、前後セットで約2kg。こう聞くと確かに重いと感じるだろう。
ミドルグレードのホイールともなれば、重量は約1.6~1.7kgほどです。かりに1.7kgのホイールへ交換すれば、300gの軽量化につながる。
そうすれば、漕ぎ出しも軽くなり、坂道も今までより楽に上れるようになるため、ヒルクライムでは劇的に走りが変わります。
エントリーモデルのロードバイクには、耐久性の高い重たいタイヤが付いていることが多いですね。
そこで、上位グレードのタイヤに交換しよう。5,000円から10,000円で購入できて、軽量なだけでなくグリップ力や耐摩耗性の高いラインナップがそろっています。
また、上位グレードのタイヤにも軽量で耐久性に優れているものもある。ロングライドや自転車旅を重視する方におすすめです。
費用対効果が抜群に優れているので、一番始めにアップグレードを図りたいパーツともいえます。
チューブ交換もタイヤ同様、非常にコスパに優れていますが、軽量なチューブというのは耐久性が下がるリスクが高く、交換すべきか考えものですね。
ロングライドや自転車旅をよく行なう機会が多いのであれば、個人的にはチューブの軽量化はおすすめしません。
エントリーモデルのロードバイクには、1本100gを越えるブチルチューブが使われることが多く、軽量なチューブを使い、前後合わせて100gも軽減すれば効果が大きくなります。
サドル・シートポスト
足回りのパーツ交換に続いて軽量化の恩恵を受けやすいのが、サドルとシートポストです。
特にダンシングの際にロードバイクの振りが軽くなるため、効果を実感しやすいですね。その効果は、無駄な力を減らして加速がしやすいし、坂道を力強く上れます。
エントリーモデルのロードバイクに使わているサドルは、レールがクロモリやスチール製のものが多く、座面のクッションは厚めな傾向がある。そのため、300~400gと重量も重めだ。
フルカーボンサドルともなれば、100gを切るようなものが多いので、かなり軽くできます。
サドルを交換する際、自分のお尻の形と合うのが重要になってくるので、個人的にはそこまで軽量化にこだわる必要はないと思う。軽量化により、お尻が痛くなってしまうのであれば、意味がないですね。
自分のお尻の形と合い軽量なサドルと巡り合えるのは運しだい。下手をすると、深いサドル沼にはまるリスクが高いですよ。
シートポストの軽量化は、アルミ製のものを使っているのであれば、カーボン製に交換しましょう。
アルミ製のシートポストは、重量が300~400gぐらいするものが多い。一方、カーボン製のものは200g前後が多く、軽いモデルならば150g以下のものもある。
カーボン製にすることで、かなりの軽量化が図れるだけでなく、振動吸収性が優れているのはありがたいですね。
ペダル
基本的にロードバイクの完成車は、ペダルは別売りです。初めてロードバイクへ乗るのであればフラットペダルを購入された方が多いでしょう。
フラットペダルはものにもよりますが、両方で約500gの重量があったりします。
ロードバイクに乗り慣れてくると、目的や用途にもよりますが、ビンディングペダルに興味を持つ機会が多い。ビンディングペダルに交換することで、約200~300gも一気に軽量化を図れます。
特にビンディングペダルの仕様上、足をペダルに固定して効率良く力を伝えてくれるので、速く走れたり、脚の疲労軽減を図れる効果は大きいですね。
また、ビンディングシューズを持っていなければ、必然的にシューズも購入することになる。軽いシューズはペダルを回すのも楽なので、しっかり選びましょう。
ハンドル・バーテープ・ステム
エントリーモデルのロードバイクに使わているハンドルは、アルミ製で重量は約300~350gのものが多いです。これをカーボンハンドルにするだけで軽量化を図れます。
カーボンハンドルの重量は約200gほどなので、100gの軽量化を図れますが、価格が3万円以上と高価なため、コスパが良くありません。
高いところについているハンドルは、サドル同様にダンシング時に振った時に影響を与えます。また、カーボン化により、振動吸収性もよくなるメリットがあるので、足回りのパーツとサドル・シートポストの軽量化が図れたら検討していきたいですね。
ハンドルを新調する際には、バーテープも購入することになるため、合わせてバーテープの軽量化を見直したい。
もし今までクッション性の高い分厚いものを使っていたならば、薄手タイプにしてしまうのも一つの手です。
また、ステムの軽量化も「アリ」でしょう。ステムを交換することで、ハンドルまでの距離と高さを変えられます。
数値上では、確かに軽量化を図れるのですが、個人的にはハンドルのポジションを変えないのであれば、あえて交換する必要はないと思います。
なので、必要に応じてポジションを見直す際に軽量モデルを選びたいですね。
コンポーネント
コンポーネント(コンポ)を上位グレードに交換することで、ギアのチェンジがスムーズにできたり、ブレーキの制動力が高くなるなど走り全般に影響を与えます。
グレードが上がるに従い価格も上昇するのですが、軽量化を図るならば、シマノのコンポでは、ULTEGRA(アルテグラ)かDURA-ACE(デュラエース)にしよう。
DURA-ACE R9200シリーズのセット価格は、450,000円ととても高く、コスパがすこぶる悪いですね。ULTEGRA R8100シリーズのセットでも価格は278,000円ととても高く、一気に交換するのは予算的に厳しい人も多いと思う。
なので、部分的に交換していきたい。DURA-ACEはプロ向けなので、ホビーライダーならばULTEGRAがおすすめ。
快適性の向上を図るためにコンポを交換するのはよいですが、軽量化のためだけに交換するのであれば、予算に余裕があるときに行ないましょう。
その他のパーツ(チェーン、ボトルゲージなど)
お手軽の軽量化できるパーツには、チェーンやボトルケージなどがあります。
チェーンをアップグレードしても数グラム程度しか軽くできないので、摩耗して交換するタイミングで、必要に応じて上位グレードにしてみよう。
特にULTEGRAやDURA-ACEの上位グレードのものとなると、SIL-TEC加工が施されており、錆びにくくノイズや駆動抵抗の低減、耐摩耗性の向上を図れるので性能が格段にアップします。
また、一般的なボトルゲージは、だいたい30~100g以下のものが多いのですが、中には20g以下の超軽量なものもある。
ボトルと共に軽量化に努めたとしても、残念ながら走行性能には、ほとんど効果を期待できないですね。
それでも坂道では軽い方が有利に働くので、ボトルゲージの軽量化が全く意味をなさないわけではありません。
その他には、バーエンドやワイヤー類、ネジ類などを軽量化してみよう。そこまで突き詰めて軽量化を進めていくと、車重が約5~6kgのロードバイクも夢ではないでしょう。
最高にコスパのよい軽量化は乗り手の体重の軽量化
ロードバイクの軽量化ではありませんが、乗り手の体重が軽くなるだけで抜群の効果を発揮します。
漕ぎ出し始めや坂道を駆け上るときに、その効果を実感しやすいですね。コストをかけずに軽量化するならば、まずは自分自身を鍛えよう。
脂肪が落ちて筋肉になることで、体重が軽くなるだけでなく、より高いパフォーマンスを期待できる。ただし、体を壊しては意味がないので、負荷のかかりすぎるトレーニングはご法度です。
ウェアやヘルメット・シューズの軽量化は効果的
ロードバイクの乗り手の体重だけでなく、身に付けるアイテムの軽量化も効果的です。
ロードバイクで走る際、サイクルウェアやヘルメット、専用のシューズを常に身に付けるので、これらが少しでも軽くなると体感で感じやすい。
特にロングライドのように長距離を走るのならば、疲労軽減のためにも軽量化に努めましょう。
まとめ
ロードバイクの軽量化は、凝り始めるとドンドン深みにはまってしまいます。いわゆる軽量化の沼というヤツですよ。
そうなると、お金が湯水のように流れてしまうだろう。なので、目的や用途に応じて行ない、不必要な軽量化は避けて下さいね。
パーツ交換の始めは、足回りのパーツであるホイールやタイヤ交換がおすすめ。軽量化の効果が実感しやすいです。
また、パーツ交換だけでなく、トレーニングを積んで体重を落としていくのが最も効果的。筋力を強化しながら体重を落とそう。あなた自身が強くなれば、それだけ速く走れるようになれる。
そうすれば、マイ自転車の軽量化と合わせて、最大級のパフォーマンスを発揮できるでしょう。