輪行で最も利用する公共交通機関は何かと問われたら、あなたは何とお答えになりますか。大半の人は「電車、新幹線」と答えるのではないでしょうか。
電車や新幹線は、日常生活に欠かせない便利な乗り物であり、誰もが一度は乗った事があるはずです。自転車を電車などの公共交通機関にのせて移動すると、自転車旅の行動範囲が各段に広がるものだ。
輪行には、もちろん色々なルールがあり、自分勝手に電車へ自転車をのせる訳にはいきません。また、ルールの他にも乗客へ迷惑をかけないようにするためにマナーを守ろう。
本記事では、電車や新幹線で輪行する時のルールやマナーについて説明します。
輪行の歴史、ルールとマナー
日本で誰でも手軽に輪行ができるようになったのは、1984年10月1日からです。もともと競輪選手だけが輪行を許可されていました。
1960年代に第1次サイクリングブームにより、財団法人日本サイクリング協会(JCA)が設立されると、その会員のみが有料で輪行ができるようになる。当然色々な問題が発生したことは想像に難くありません。
その後、文部省や国鉄、日本サイクリング協会など多くの関係者の協力の下、1984年10月1日に誰でも有料手回り品切符を購入すれば、輪行できるようになりました。
そして、1999年には有料手回り品切符も必要なくなり、今の輪行のスタイルが確立した訳です。
当たり前ですが、電車には多くの乗客が乗り込みます。そこで大事になるのが輪行のルールとマナーですね。
自分勝手な行動でルールやマナーを無視していると、他の乗客に多大な迷惑をかけることに。そんな行為が続けば、電車や新幹線を使った輪行が中止になる可能性が高いです。
そうなれば、先人たちが苦労の末、勝ち取った輪行の歴史に泥を塗りかねません。
そこで、電車輪行のルールとマナーを以下にまとめました。
- 電車や新幹線で行う輪行のルール
- 輪行袋は自転車専用の物を使う
- 混んでる車内には持ち込まない
- 電車の乗車時、乗車中のマナー
- 自転車の置き場所は車両の最後尾か最前尾
- 車椅子のスペースを活用
- ドア付近には自転車を置かない
- 乗り降りに他の乗客に気を使おう
- グループライドでは1つの車両に自転車をまとめて置かない
- 新幹線や特急列車の乗車時、乗車中のマナー
- 最後尾席の後ろの広いスペースを活用
- デッキスペースを活用
それぞれについて説明します。
電車や新幹線で輪行する場合のルール
輪行袋は自転車専用の物を使う
電車や新幹線に自転車を持ち込むためには、自転車専用の袋である「輪行袋」を使用します。輪行袋を持っていないからといって、代替えの袋は使えません。
たとえば、大き目のゴミ袋を使えば自転車を丸ごと覆うことができるけど禁止ですよ。また、手作りの袋やビニールシートを使うのもNG。あくまで、市販の輪行袋のみが利用できます。
また、ただ輪行袋に入れるでけでなく、JRグループや私鉄各社では、基本的に以下のルールが決められている。
- 自転車は解体して輪行袋に入れる。
- 3辺の合計が250cm以下で重量が30kg以下である。(一辺の最長は2m以内)
- 輪行袋に全て収まるようにする。
輪行袋は縦型と横型がありますが、いずれにしても前輪又は前後輪を取り外すため解体しなければなりません。
縦型の輪行袋を使う場合は、ほとんど3辺の合計が250cm以下に収まるでしょう。
横型の輪行袋は、3辺の合計が250cm以下で辺の最長が2m以内に収める事ができなケースがありますので、注意が必要です。
また、輪行袋に入れた自転車の部位(ハンドルやサドルなど)が袋からはみ出してはいけないため、しっかり袋で覆って下さい。
混んでる車内には持ち込まない
電車の車内が混んでいる場合は、乗客に大迷惑がかかるため、たとえ自転車を輪行袋に入れても持ち込まないように気を付けましょう。
特にGWやお盆、年末年始などの帰省時期は電車が混むことが多いですね。テレビのニュースなどで「新幹線の乗車率200%です」といった話をよく聞きます。こんな状態で車内へ持ち込むのは、迷惑千万ですよ。
ちなみに、私は大型連休に輪行する場合は、連休開始の2~3日前に乗車するようにしています。
また、電車によっては、通勤通学の時間帯は車内が混むことが多いので、その時間帯は避けるのが無難ですね。
実は駅員や乗務員は、他の乗客の安全を守れないと感じた場合は、輪行を拒否できる権限を持っています。車内が混んでいる場合に輪行しようとすると、注意を受ける可能性が高いです。
電車で輪行する場合のマナー
自転車の置き場所は車両の最後尾か最前尾
自転車を電車の車内へ持ち込んだ場合、どこへ置けば良いでしょうか。
一般的には、一番前の車両か一番後ろの車両へ載せるのが良いとされています。特に自転車を置けれるスペースがある運転台の後ろがベストですね。
始発駅から電車へ乗り込む場合は、運転台のスペースを確保するため早めに並びましょう。
ただし、車両によっては運転台の後ろが座席の場合があります。
電車によって混雑する車両は違うので、乗務員に確認してみよう。
車椅子のスペースを活用
電車によっては、車椅子向けの乗客用にシートの無いスペースが設けられています。
このスペースはそれなりに広いので、ここに自転車を置きましょう。
但し、このスペースはあくまで車椅子の乗客が優先である事を忘れてはいけません。
譲り合って気持ち良く使いましょう。
ベビーカーを載せた乗客にも譲ってあげよう。
ドア付近には自転車を置かない
乗客が乗り降りするドアの前に自転車を置くと通行の邪魔でしかありません。
ドアの前に置くことは絶対にやめましょう。
私は過去に輪行している人を何人も見てきましたが、さすがにドア前に自転車を置いている人は見かけたことがないですね。
乗り降りに他の乗客に気を使おう
他の乗客を優先させて、後から乗り降りしましょう。
輪行袋に入れた自転車は、大きな手荷物なので、乗客へぶつからないよう気を使う必要があります。
グループライドでは1つの車両に自転車をまとめて置かない
一人で輪行する時は気にならないものですが、グループライドを行う時は、気を付けなければいけないことがあります。
電車の車内に誰もいないようでしたら特に問題にはなりませんが、一つの車両に大人数の自転車を置かれると物凄く邪魔です。
車内の混み具合にもよりますが、一つの車両へ自転車を置く数は、多くても2つまでにすべきですね。
友達同士だからといって一箇所に固まる必要はありません。他の乗客へ迷惑をかけないよう心掛けましょう。
【サイクルイベントに関する話】
自転車好きが集まったグループで、サイクルイベントへ参加してみませんか。きっと今まで以上に自転車が好きになるでしょう。下記記事では、サイクルイベントについてお伝えします。
新幹線や特急列車で輪行する場合のマナー
最後尾席の後ろの広いスペースを活用
事前に指定席の予約が取れるのならば、車両の最後尾を予約しましょう。また、同時に座席後ろの広いスペースも予約できればベストです。
座席後ろのスペースは予約をしていないと、早い者勝ちになりますので、新幹線に乗り込む当日に空いていなかった場合は、諦めるしかありません。
私の経験上、自由席でも座席後ろのスペースを確保できたケースが多かったですね。(たまたまかもしれませんが・・・)
この広いスペースは、特大荷物を置く場所なので、大きなキャリーケースなどが置かれます。
特急列車によっては、最後尾の後ろにスペースが狭い場合があるので、必ず自転車が置けれるとは限らないよ。
デッキスペースを活用
先ほど話しました「最後尾の座席後ろのスペース」を活用できない場合は、デッキスペースへ自転車を置くしかありません。
間違っても狭い通路へ自転車を置くのは絶対にやめましょう。
デッキスペースを使用する場合は、通行の邪魔にならないよう気を付ける必要があります。
新幹線に特大荷物を持ち込む場合は予約しよう
2020年5月20日より、3辺の合計が160cm~250cmの荷物を持って東海道・山陽・九州新幹線へ乗り込む場合は、「特大荷物スペース付き座席」の事前予約が必要になりました。
この特大荷物スペース付き座席とは、各車両の最後尾の座席のことですよ。自転車を持ち込む場合は、今のところ事前予約は必要ありませんね。
そこで、この事前予約ルールを以下にまとめました。
- 指定席では、最後尾を事前予約しなければ、最後尾の後ろのスペースに荷物は置けない。
- 指定席の最後尾を事前予約せずに、最後尾の後ろのスペースを利用する場合は、1,000円を追加で払う。尚、荷物は乗務員が指定する場所へ置くことになる。
- 輪行袋に入れた自転車は「スポーツ用品」の扱いのため、自由席に乗る場合でも1,000円を払う必要はなく、自由席の最後尾の後ろのスペースへ自転車を置ける。
この予約ルールにより、新幹線で輪行する場合は、指定席は最後尾席の事前予約が必要、自由席は予約不要と覚えて置くと良いでしょう。
【予約が取れない場合の対応】
新幹線の特大荷物を置くスペースの数は限りがありますので、予約が取れない場合がありますね。そんな時は、運送業者へ頼むのも一つの手です。下記記事では、自転車を運べる運送業者や荷物を少なくする方法について紹介します。
駅構外で自転車の分解・組立作業を行なう
駅は公共の場所なので、構内で自転車の分解や組立作業を行うと、周りの人たちに迷惑をかけるのでやめましょう。
作業を行う場合は、必ず駅の外で行って下さい。
例え駅の外であっても大勢の人が歩いている歩道は、通行の邪魔になるため作業場所としては不適切です。
通行人の邪魔にならない場所で作業を行いましょう。
駅から出て、ロータリーの隅っこなどが作業場所として使える事が多いね。
駅構内での移動は気を使おう
駅構内に輪行袋に入れた自転車を持ち運ぶ場合は、他人にぶつけてしまう可能性があるため、人の流れが少ないところを歩くべきです。
他人から見た場合、持ち運んでいる自転車は、かなり大きな荷物に見えます。
輪行袋の事を知らない人もいるので、移動する時は周りに注意を払い、危険を避けるように歩きましょう。
輪行袋を知らない人は、袋の中に自転車が入っていると思っていないよ。ぶつかると怪我をする可能性があるため、気を付けて歩こう。
まとめ
電車や新幹線で輪行するに当たり、様々なルールやマナーについて紹介しました。
一人一人が気を付けて、ルールやマナーを守っていかないと、乗客へ多大な迷惑をかけるため、最悪、電車や新幹線を使った輪行が中止になる恐れがあります。
輪行は自転車旅の行動範囲を広げてくれる大事な手段ですので、この手段が失われるとダメージが計り知れません。
一人一人がルールとマナーをしっかりと守り、楽しく輪行を行いましょう。