小豆島を訪れたら是非とも立ち寄りたいスポットの一つが「寒霞渓」です。
日本三大渓谷美の一つに数えられており、見応えのあるダイナミックな景観は、時間をしばしば忘れさせてしまいます。
四季折々に異なる絶景を楽しめ、特に紅葉の時期では、赤や黄色で燃え上がるような圧巻の光景を目の当たりにし、深い感動を覚えるでしょう。
また、サイクリストにとっては、本格的なヒルクライムを楽しめるスポットとして知られており、チャレンジする人が後を絶ちません。
本記事では、紅葉の時期にサイクリングで寒霞渓の頂上を目指し、寒霞渓の魅力を紹介します。
寒霞渓とは
寒霞渓は、小豆島のほぼ中央に位置する渓谷であり、四季折々に様々な絶景を楽しめる小豆島を代表する観光スポットの一つです。
約1,300万年前の火山活動により誕生後、途方もない長い年月の間に度重なる地殻変動と風雨による侵食が進み、多種多様な断崖や奇岩群が造られていきました。
1923年(大正12年)3月7日に国の名勝に指定され、1934年には日本最初の国立公園に指定された「瀬戸内海国立公園」の景勝地です。
その他には、日本三大渓谷美や日本三大奇勝、日本百景などにも選ばれており、毎年多くの観光客で賑わいます。
寒霞渓の頂上へ向かう道とは
サイクリングで寒霞渓の頂上を目指すルートとして、東西南北別に4つのルートがあります。
私も全てのルートを走った訳ではありませんが、走ったことのある人からの情報を参考にまとめると以下になりました。
- 東ルート:勾配は安定しているが、キツイところもある
- 西ルート:かなりキツイ、おすすめしない
- 南ルート:4つのルートで一番長いが、比較的楽に上れる
- 北ルート:距離は短いが、激坂が多い
個人的な経験で言えば、土庄港のフェリーを利用するならば、南ルートで寒霞渓を上り、西ルートで下って土庄港を目指すコースが一番楽しくサイクリングできます。
ちなみに寒霞渓から西ルートで土庄港へ向かうと四方指展望台辺りまでは概ね上り道であり、その後一気にダウンヒルが始まるよ。
【サイクリストの管理人からの一言】
サイクリングへ出かける前は、タイヤの空気圧やブレーキの状態を良く確認してから出かけよう。下記記事では、空気圧やブレーキについてお話します。
サイクリングで頂上を目指せ、紅葉が彩る寒霞渓の魅力を紹介
サイクリング中の立ち寄りスポット
寒霞渓の頂上(ロープウェイ乗り場)へは、南ルートを使って向かいました。
南ルートは、国道436号線の途中から県道29号線を北上するコースであり、道中には内海ダムがありますので、ここでトイレ休憩を入れると良いでしょう。
最寄りの港は草壁港になりますが、私は土庄港から国道436号線を東へ約14kmほど進み、この南ルートの入口へ辿り着きました。
尚、土庄港から南ルートの入口までには、エンジェルロードや小豆島オリーブ公園など様々な観光スポットが点在していますので、時間に余裕があれば立ち寄ってみて下さい。
南ルートは、寒霞渓頂上まで約14kmほどありますが、最初の数kmはほぼ平坦で徐々に勾配がキツクなり、平均すると斜度7%前後と言ったところですね。
まずは、約2km先にある内海ダムを目指しましょう。
内海ダムのダム湖と寒霞渓の渓谷美が青空の下に良く映えてマッチしています。
この内海ダムには駐車場やトイレは完備されているのですが、飲み物の自動販売機や売店などはありません。
また、この先頂上まで道中には、自動販売機は一切見かけませんでした。
そのため、補給食と飲料水を持ってくるのを絶対に忘れないようにしましょう。
とあるご年配のご夫婦が内海ダムに車を駐車後、折りたたみ式の電動アシスト付き自転車で頂上を目指して行く光景を目撃して、「やはり山には電動が最強だな」と改めて思いました。
内海ダムでトイレ休憩をした後で、再び頂上を目指します。
道中ところどころで見かける「もみじの木」の鮮やかな色に目を奪われますね。
しばらく進むと芝生が広がっている場所へ辿り着きますので、自転車を降りて、少し段差になっている芝生の上を歩いて上ってみましょう。
芝生の上には「日本屈指の渓谷美」と書かれた寒霞渓ロープウェイの案内版が立てられていますので、道を間違う心配もありません。
芝生の上を歩いていると、直ぐ奥には猪谷池が広がり、木々の紅葉を鏡のように写し取っています。あまりの綺麗な光景に「おー」と自然に声を上げてしまいました。
芝生の上を歩いて上らないと、この絶景は見ることができません。
この先の道を進むと、寒霞渓の頂上へ進む道とロープウェイ乗り場へ進む道の2つに分かれています。
尚、ロープウェイ乗り場までは、南ルートの入口から約6kmほどであり、寒霞渓ロープウェイのこううん駅からロープウェイを使って一気に頂上へ向かうことも可能です。
頂上へ行く事だけを目的にしているのならば、ロープウェイを使う選択も有りですね。
先ほどの芝生広場からの先の道は、似たような道がそれなりに続きますが、ところどころで絶景にお目にかかりますので、出来れば頑張って頂上を目指しましょう。
この写真のように奇峰がそびえ立っているのを目撃すると、テンションが急上昇しますね。
凄い迫力です。
道なりにしばらく坂道を駆け上っていると、頂上へ辿り着きました。
寒霞渓の頂上からの光景、展望台を見て周ろう
寒霞渓の頂上の入口前には「寒霞渓」の文字が彫られた大きな立石がそびえ立っています。
ヒルクライム後にこの立石を見ると達成感が溢れてきますね。(嬉)
頂上付近には、お土産物屋やレストラン、駐車場、ロープウェイの施設があります。
また、展望台が2つありますので、両方の展望台へ立ち寄りましょう。
まずは第1展望台へ向かうと、道中には赤く染まった綺麗な紅葉がお出迎えしてくれます。
その光景に思わず足が止まってしまうのも無理はありません。(笑)
第1展望台へ到着すると、再び「寒霞渓」の文字が彫られて石が設置されており、写真撮影には良いスポットです。
展望台から眼下を見下ろすと、小豆島を一望できる絶景が広がり、遠くには四国本土が見えます。
また、サイクリングしてきた南ルートの一部が見えるため、「この道を上って来たんだ」と自分が辿った道のりが確認できるのも南ルートを走るメリットの一つですね。
展望台のすぐ前にある景観図と実際の光景を見比べてみるのも楽しいです。
次は第2展望台へ向かいましょう。
第2展望台へ向かう時に目にする大きな掲示板には、表神懸(おもてかんかけ)12景の道と裏神懸8景の道と呼ばれている2つの登山道の案内がありました。
地図を見てみると、サイクリングの途中で見かけた寒霞渓頂上とロープウェイ乗り場へ向かう道の分岐点近くから2つの登山道が頂上へ繋がっているようです。
もし、サイクリングと登山の両方を楽しむのならば、寒霞渓ロープウェイのこううん駅まで自転車で向かい、片方の登山道で頂上まで上った後で、もう片方の登山道でこううん駅へ戻ってくるのが良いのではないでしょうか。
第2展望台へ辿り着くと、三度「寒霞渓」の文字が彫られて石が設置されており、記念撮影スポットに持って来いです。
眼下の景色は、先ほどの眺めた第1展望台からの光景とは少しアングルが異なって見えます。
また、寒霞渓の奇峰と紅葉の素晴らしい景色が見て取れますね。
この第2展望台では「かわら投げ」ができます。
かわら投げとは、かわらと呼んでいる直径約6cmぐらいのせんべいのような小さな土器を投げて、渓谷に設置されている輪っかの中を通すとご利益があるとされています。
展望台の近くで1組5枚を200円で売っています。
私は試さなかったのですが、多くの観光客が「かわら投げ」をしているところを見ていると、どうやら難しいようで全く的へ入りません。
それでも「かわら投げ」を行なった人たちの楽しそうな笑顔が印象的でした。
ロープウェイからの絶景
空中から360度のパノラマ絶景を堪能するならば、ロープウェイへ乗り込みましょう。
寒霞渓のロープウェイの特徴として、空と海、渓谷を一度に楽しめます。
春には山桜、夏の新緑、冬の岩肌、そして何と言っても秋の燃えるような紅葉に目を奪われるでしょう。
ロープウェイに乗って一番初めに驚かされるのが、屏風のように広がり垂直にそびえ立つ岩肌の存在です。
小豆島の主な地質は、下から花崗岩、火山角礫(かくれき)岩、安山岩という3層構造の特徴があります。
その内、特に2層目の火山角礫岩層が長い年月の間、風化や浸食が進み、結果的に奇岩や奇峰を形成するに至った訳です。
ロープウェイ内では前や横だけの景色を見るだけでなく、後ろを含めた全体を見回してみましょう。
息を飲むような絶景に感動します。
季節ごとに異なった表情を見せてくれる寒霞渓のロープウェイはおすすめです。
三笠山への登山と阿豆枳神社の参拝
頂上の入口付近にあった「寒霞渓」と彫られた大きな立石の近くには、三笠山へ通じる道があります。
三笠山の山頂までは、約500mと短いため向かってみましょう。
道中、阿豆枳(あずき)神社へ向かう階段を発見。
神社巡りが趣味の一貫になっている私としては、この発見はまさに啓示です。(笑)
頂上へ向かうルートを離れ、阿豆枳神社へ向かうことにしました。
一番奥まで辿り着き、辺りを見渡しましたが、そこには拝殿や祠などが見つかりません。
しかし、屋根の付いた休憩所?らしき建物がありました。
「これって、どう言うこと?」思わず声が漏れてしまい頭の中は「???」です。
そんな私の状態を見かけたのか、後から上ってきた観光客からカラクリを教えてくれました。
なんと、建物の裏側にある高台の上に神域があるという。教えてもらったところを見てみると、確かに神域がありました。
建物の中にある賽銭箱前で、神域に向けて参拝するそうなので、それにならいます。(後からわかったのですが、この休憩所らしき建物が拝殿でした。)
それにしても、こんな参拝場所があるとは驚きです。今回のことは良い勉強になりました。
阿豆枳神社のご祭神は、
- 豊受大神(とようけのおおかみ)
- 天御中主神(あめのみなかぬしのかみ)
- 高皇産靈神(たかみむすびのかみ)
- 瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)
- 天児屋根命(あめのこやねのみこと)
- 天太玉命(あめのふとだまのみこと)
だよ。
阿豆枳神社の参拝後、階段を下りて再び三笠山の山頂を目指します。
この写真の立札が見えたら山頂まで残り200m。ラストスパートです!
三笠山の山頂に到着すると、少し広い広場になっていて、周りの木々が綺麗に色付けされていました。
周辺には特に何もありません。
奥の方には、更に星ヶ城山の山頂へ続く道が繋がっていましたが、滞在時間の関係上、向かう事を断念。寒霞渓の頂上へ戻りました。
噂の一億円トイレ
寒霞渓の頂上には、一億円かけて作られたトイレがあります。
寒霞渓へ訪れた是非、最高級のトイレを味わって下さい。(笑)
流石に一億円をかけたことだけあって、清潔なことはもちろん、冷暖房完備は当たり前。また、BGMが流れています。
女性トイレは男性トイレより更に設備が充実していて、清潔なパウダーコーナーやお子様連れに嬉しい母子コーナーなどがあるそうですよ。
確かにトイレは非常に大事ですが、個人的にはトイレに一億円をかけるのは流石にやり過ぎなのではと疑問を抱かずにいられませんでした。
寒霞渓ロープウェイの営業時間と料金
寒霞渓ロープウェイは、期間により営業時間や始発・最終時刻が異なりますので注意しましょう。
期間 | 営業時間 | 始発時刻 | 最終時刻 |
---|---|---|---|
3/21~10/20 | 8:30~17:00 | 8:36 | 17:00 |
10/21~11/30 | 8:00~17:00 | 8:00 | 17:00 |
12/1~12/20 | 8:30~17:00 | 8:36 | 17:00 |
12/21~3/20 | 8:30~16:30 | 8:36 | 16:30 |
- 通常は、毎時12分間隔で運行します。(多客時では6分間隔で運行)
- 最終便での往復は利用できません。
- 運休日は基本的にありませんが、気象条件により運転見合わせや運休になる場合があります。
- 料金は、往復で大人(中学生以上)で1,890円、子供(小学生)で950円。片道の場合は、大人1,050円、子供530円になります。尚、障碍者割引や団体割引がありますので、詳しくは寒霞渓の公式ホームページをご確認下さい。
- 6歳未満の子供は大人1名につき1名無賃になります。
- 自転車の持ち込みには別途運賃が追加されます。折り畳んだ状態で袋に入れると手荷物運賃として100円が加算され、そのまま乗車すると自転車1台に付き1名分の運賃が加算されます。
寒霞渓を訪ねたら立ち寄って欲しい、鷹取展望台と四望頂
寒霞渓の頂上から西に約170m進むと鷹取展望台があり、直ぐ近くには四望頂(しぼうちょう)があります。
寒霞渓の頂上まで訪れたら是非立ち寄って欲しいスポットです。
頂上から距離も短いため歩いて行けますね。
鷹取展望台の周辺には売店などなく休憩には余り向きませんが、ここから見える景色は最高です。
寒霞渓の奇岩、奇峰が良く見えます。
歩いて5分程度のところにある四望頂も合わせて立ち寄ると良いでしょう。
大興奮間違いなし!四方指展望台からの絶景
西ルートを使って、寒霞渓を下山(又は登山)する場合に是非立ち寄って欲しいスポットが四方指展望台です。
標高777mからの光景は、遠くに姫路や淡路島、四国の山並みが見て取れます。
眼下には寒霞渓の絶景が広がり、個人的には寒霞渓で一番のベストビュースポットです。
朝日や夕日が綺麗に見える展望台として知られており、小豆島を代表する初日の出スポットになっています。
【絶景の紹介】
旅先では四方指展望台のような絶景スポットへ良く訪れますので、下記記事で紹介します。
寒霞渓の基本情報とアクセス
住所 | 香川県小豆郡小豆島町神懸通乙168(山頂駅) |
電話番号 | 0879-82-2171(寒霞渓ロープウェイ 代表) |
【アクセス】
- 小豆島各港(土庄港、大部港、池田港、福田港、草壁港、坂出港)から車で約30~45分
- 草壁港から季節限定の路線バスで「神懸線行き」で終点の紅雲亭(こううん駅)にて下車後、ロープウェイで頂上駅へ
寒霞渓の駐車場
寒霞渓頂上には無料駐車場があります。(車200台)
また、寒霞渓ロープウェイのこううん駅にも無料駐車場があります。(車40台)
まとめ
小豆島を代表する観光スポットの一つに寒霞渓があり、四季折々の絶景を楽しめます。
特に紅葉の時期に訪れると、色鮮やかな光景に感謝しか有り得ません。
寒霞渓の頂上へは、車で訪れても良いですが、自転車を使って自分の力で辿り着いた時の達成感や充実感は格別です。
サイクリストとして小豆島へ訪れる機会があれば、一度はサイクリング(本格的なヒルクライム)で寒霞渓へチャレンジしてみませんか。
きっと最高のご褒美(絶景と達成感)を手に入れることでしょう。