自転車で坂道を上る人の意見は、両極端にわかれる場合が多いですね。
坂好きな人がいれば、坂道と聞くだけで顔をしかめる人もいる。つまり、坂道は愛されている一方、非常に嫌悪されています。
特にママチャリのような重い車体の自転車では、ちょっとした坂道を上るだけでも息切れしてしまうものです。それに比べロードバイクであれば、ある程度の勾配までスイスイ上れてしまうもの。もちろん人の実力によって上れる勾配や距離は異なります。
本記事では、ロードバイクで坂道を上るのが「きつい」と感じる勾配について考えをまとめました。
あくまで個人的な経験に基づき、一般的な考えを取り入れてまとめたものなので、参考程度にお読みください。
自転車で坂道を上ると、なぜ「きつく」感じるのか
そもそも坂道を上るというのは、重力に逆らう運動だ。なので、自転車で坂道を上ると、平地と比べて「きつく」感じてしまうものです。
それに歩く場合と比べてみても、明らかにきつく感じます。それでは、なぜそう感じてしまうのでしょうか。
単純な物理学で考えてみると、高さが高い側にものを動かせば、その重さと高さに比例したエネルギーが必要になってくる。
つまり、自転車の重さが加算されるので、歩きの方が楽に感じられます。
さらに歩く場合では、自分のペースで登れるし、力を出し入れするタイミングも交互に挟めるから楽に感じるのでしょう。
一方、自転車は一定の速度でペダルを漕ぎ続けなければならないので、連続して力をかけ続ける必要がある。このような仕組みでは、平地より脚の筋力にかかる負担が大きくなるのは当たり前です。
これが坂道を上るのが、つらく感じる要因ですね。
勾配と斜度の関係
勾配を表す単位は、角度ではなく「%」で表記することが法律上定められています。
そのため、道路標識では「5%」や「12%」のように表記されている。角度(斜度)でなく「%」のため、いまいちピンとこない方も多いでしょう。
けれど、その勾配表記のある道を何度も走っていると、体が自然に理解してくるものですね。
勾配について整理してみると、勾配が10%の上り坂では、水平に100m進んだ時に10mの高さを上ることを意味しています。勾配5%ならば、水平に100m進んだ時に5mの高さを上ることですよ。
高さ10mといえば、ビル3階ていどの高さです。そう考える勾配10%がいかに激坂なのかイメージしやすいでしょう。
そもそも勾配と斜度の関係は、三角関数で表すと「勾配x%の坂 = θ度の坂」となる。このことから以下に勾配と斜度の関係をまとめました。
勾配 | 斜度 | 勾配 | 斜度 | |
---|---|---|---|---|
1% | 0度34分 | 8% | 4度34分 | |
2% | 1度8分 | 9% | 5度8分 | |
3% | 1度43分 | 10% | 5度42分 | |
4% | 2度17分 | 15% | 8度31分 | |
5% | 2度51分 | 20% | 11度18分 | |
6% | 3度26分 | 100% | 45度 | |
7% | 4度 |
【自転車のアイテム紹介(その1)】
自転車に役立つ様々なアイテムを、下記記事で紹介します。
勾配別にロードバイクで坂道を上るときの感覚
勾配別にロードバイクで坂道を上るときの感覚を以下にまとめました。
- 勾配4%未満:楽に上れる
- 勾配4~6%:距離が長くなると中々手応えを感じる
- 勾配7~9%:少し「きつい」と感じる
- 勾配10%以上:本格的な激坂、プロでもきつくなる
- 勾配15%以上:超激坂、心拍がやばい
- 勾配20%以上:坂道を上るのが嫌になる
これらは冒頭でも述べた通り、あくまで個人的な経験に基づき、一般的な考えを取り入れてまとめたものです。なので、個人差があるのはご了承下さい。
また、坂道を上る前に激しく疲労していれば、普段鼻歌交じりで上れる坂道でも辛く感じますので、上記で述べた感覚は、ほとんど疲労していない状態で坂道を上った時のものです。
それでは、それぞれについて説明します。
【勾配4%未満】楽に上れる
勾配4%未満であれば、上っている感覚はありますが、それほどつらく感じられません。
特に1~2%程度ならば「なんだかペダルが重たいな」と思える程度ですよ。この程度の坂道は、町中でも普通にあるため、気にならな方も多いでしょう。
ママチャリで普通に上れるし、ママチャリより圧倒的に重量が軽いロードバイクならば余裕で走り抜けます。
人によっては、勾配3%の坂道が続くと、しんどく感じるかも知れませんが、短距離であればあっさり上りきれますね。
【勾配4~6%】距離が長くなると中々手応えを感じる
勾配が4~6%になってくると、ハッキリ坂道だと認識できますね。人によっては、距離が延びるに従いつらく感じてくるものです。
しかし、ある程度のトレーニングを積んだサイクリストであれば、坂道と認識はしていても、それほど苦も無く上れたりします。
だだし、そんな坂道が数kmも続けば、脚への負担は大きくなる。十分手ごたえを感じる勾配ともいえます。
【自転車のアイテム紹介(その2)】
自転車に役立つ様々なアイテムを、下記記事で紹介します。
【勾配7~9%】少し「きつい」と感じる
勾配が7~9%になると、短距離であっても少し「きつい」と感じ出します。人によっては、ギブアップする勾配ともいえますね。
ロードバイクのフロントはインナーに固定して、軽めのギアでリズミカルにペダルを回して登坂しなければ、脚や心肺への負担が大きくなる。
まさに急坂といえる勾配であり、特に疲労がたまっている状態では、上りたくないでしょう。
距離が延びてくると、少しきついから、結構きついにグレードアップする。このような急坂は、1km以上は続けて上りたくない勾配ですね。
【勾配10%以上】本格的な激坂、プロでもきつくなる
勾配が10%以上になってくると、ロードバイクでも上るのがきつくなります。
プロ選手でも距離が延びれば、根を上げるような勾配ですよ。本格的な激坂となるため、軽めのギアに落とすのはもちろんのこと、あらゆるテクニックを使って走らなければ、長時間の登坂は難しい。
尚、勾配10%程度であれば、スプロケに28t以上の乙女ギアがあると、短時間ならば比較的息を切らさずに上れたりするものです。
日本全国には、この程度の山はゴロゴロあります。ヒルクライムやロングライドをより楽しむならば、勾配10%程度はつらくても上れるようになっておきましょう。
【勾配15%以上】超激坂、心拍がやばい
勾配15%以上となれば、個人的には超激坂に指定してもよいものだと思います。
坂道を上っていると、心肺が滅茶苦茶はやくなるし、あまりにもきつすぎて足がつったりすることもあるレベルですよ。
このレベルの坂道となると、ロングライドする際には、避けて通りたい。距離が長くなるほど体力の消耗が激しくなる。けれど、数十メートルであれば、意外にダンシングでいっきに上れます。
勾配15%以上の坂道を顔色かえず上れるようになれば、一流のヒルクラマーを名乗っても問題ないのではないでしょうかね。
【勾配20%以上】坂道を上るのが嫌になる
勾配が20%以上の坂道は、ロードバイクで上るのはかなりしんどいです。
たとえ100mであったとしても、上りたくない。体力の消耗は半端ないですし、始めから分かった上でヒルクライムをするのでなければ、絶対に遠慮したいですね。
自転車旅の途中で、意図せず出会ったら、自転車を降りて無言で押して歩くレベルですよ。
ちなみにサイクリストの間で有名な劇坂コースの「暗峠」ですが、平均勾配が16.8%で最大勾配が41%もあるという。数値だけをみると、戦慄を覚えてしまいますが、どんなところなのか怖いもの見たさで、一度チャレンジしてみるのも面白くありませんか。
平均勾配の罠には気を付けよう
峠や山道をヒルクライムする際、平均勾配(平均斜度ともいう)を気にする方も多いでしょう。
平均勾配は「標高差 ÷ 距離」で算出しています。そのため、数値の中に隠れた罠が潜んでいることに注意したい。
たとえば、距離が10kmで標高差400mの峠であれば、400m÷10,000mで0.04となり、平均勾配は4%となるわけだ。すると「距離10kmで平均勾配が4%ならば、余裕で走れるかな」と思う人が少なくないと思う。
峠や山道は正比例で標高が高くなっている訳ではなく、緩い勾配が続く道があれば、急坂ばかりの道もある。さらにいえば、緩やかな勾配がずっと続いた後に、残り数kmで信じられない急勾配になることも普通にあります。
そのため、平均勾配だけで判断するのは危険ですよ。平均勾配は、あくまで参考程度の扱いに留めておくように。
なので、ヒルクライムコースを調べたり、サイクリングのコース作成の際には、勾配をグラフ表示しているアプリを使って確認すると便利です。
おすすめのアプリには「Garmin Conect」「Strava」などがあります。
まとめ
本記事では、ロードバイクで坂道を上るのが「きつい」と感じる勾配について説明しました。
最期にもう一度、説明した内容を以下にまとめます。
- 勾配4%未満:楽に上れる
- 勾配4~6%:距離が長くなると中々手応えを感じる
- 勾配7~9%:少し「きつい」と感じる
- 勾配10%以上:本格的な激坂、プロでもきつくなる
- 勾配15%以上:超激坂、心拍がやばい
- 勾配20%以上:坂道を上るのが嫌になる
人によって登坂の実力が異なるため、一概にはいえませんが、勾配が10%以上もあれば立派な激坂です。たとえ今は坂道が苦手であったとしても、トレーニング次第では、今以上に上れるようになれるでしょう。
そうなれば、より自転車が楽しくなるし、行動範囲も広がります。