自転車へ乗り続けていると、突然チェーンが外れた経験をした人も多いでしょう。
その時は、チェーンをかけ直して事なきを得たとしても、日数が経つうちにチェーンが外れる頻度が増えて「どうして、こうなった」と嘆いてしまうことに。
チェーンは消耗品であり、使い続けていると自然に伸びてしまうのです。つまり、「チェーンが伸びる ⇒ チェーンが外れやすくなる」となります。
伸び続けたチェーンを使い続けていると、変速ができないなど様々なトラブルに発展しますよ。トラブル回避のためにもチェーンの寿命を把握して、早めに交換しましょう。
本記事では、以下について説明し、チェーントラブルの回避について学べます。
自転車のチェーンは寿命前に交換しよう
自転車のチェーンは、一般的に自転車の走行距離が3,000~5,000kmになれば寿命と言われています。
これは、あくまで目安であって、単純に走行距離のみで寿命を図ることはできません。
なぜなら、自転車の使用環境によって大きく変わってくるためです。
例えば、以下のような乗り方をしていれば、確実に自転車へ高い負荷がかかります。
- スピードを意識して重いギアを踏んで加速ばかりしている
- 重い荷物の載せて走らせている
- ヒルクライムなどにより、自転車へ負荷が高い乗り方をしている
そうすると、チェーンにも高い負荷がかかっているため、寿命が短くなる訳です。
反対に自転車へ負荷が少ない乗り方をしていると、チェーンの寿命が長くなります。
つまり、軽いギアでクルクル回すような乗り方が、チェーンへのダメージを少なくしますね。
チェーンは使い続けていれば、必ず伸びてしまうため、これは避けようがありません。
良く聞く話として、「ペダルを漕いでいると、突然チェーンが外れた」「変速がスムーズにできない時がある」というのは、チェーンの伸びが長くなるほど発生しやすくなります。
そのため、チェーンは寿命が来る前に早めに交換するようにしましょう。
年間走行距離からチェーンの寿命を求める
先ほどチェーンの寿命は一般的に走行距離が3,000km~5,000kmとお話しましたが、チェーンは変速段数によっても寿命が異なってきます。
変速段数が多くなるほど寿命が短くなるため、11速用のチェーンに比べて8速用のチェーンの方が寿命は長くなりますね。
一概には言えませんが、11速用のチェーンの寿命を3,000kmとすると8速用のチェーンの寿命は5,000kmと言ったところでしょうか。
そのことを踏まえて、チェーンの寿命を年数で考えてみると下表になります。
年間走行距離 | 8速チェーン | 11速チェーン |
---|---|---|
1,000km | 5年 | 3年 |
2,000km | 2年6ヶ月 | 1年6ヶ月 |
3,000km | 1年8ヶ月 | 1年 |
5,000km | 1年 | 7ヶ月 |
8,000km | 7ヶ月+半月 | 4ヶ月+半月 |
上表より、現在主流の11速用のチェーンを使用していて、年間3,000km走る人ならば、1年しかチェーンの寿命がないことがわかりますね。
変速段数が増えるということは、チェーンの厚みが薄くなるため寿命が短くなります。
現在、12速用のチェーンが販売されていますが、11速用より寿命が短いので、コストパフォーマンスを考えると、個人的には12速化はまだ早いと思っている。
今後の技術の進歩によっては、薄い厚みでも強度が今以上に保てるようになり、寿命が延びていく可能性があるでしょう。
【自転車の寿命に関する話】
自転車はチェーンなど様々な部品で構成されていますね。下記記事では、自転車やその構成する部品の寿命について紹介します。
チェーンが伸びるとはどういうことか
チェーンは使い続けていると、伸びてしまいます。
この伸びるとは一体どういうことでしょうか。
伸びると言う言葉から「ゴムのようなイメージ」を連想されがちですが、実際は違います。
それは、「チェーンが削られて、ガタツキ(隙間)が発生する状態」のことを伸びると表しているのです。
チェーンは真上から見ると下図のようなります。この図の通りインナープレート内にローラーを挟み、ピンで止めている構造です。
チェーンを使用していると、このピンとローラーが削られ、やせ細っていきますね。
すると、僅かな隙間が発生してしまいます。
1つのチェーンには、100個以上の連携部がありますので、例え各連結部に0.1mmの隙間ができたとしても、「0.1mm×100個=10mm」の隙間が空くことになり、新品のチェーンと比べて明らかに伸びる訳です。
チェーンは、ペダルに力を入れた瞬間にチェーンにも力が伝わる訳ですが、チェーンが伸びていると力が伝達するまでに時間がかかります。
そのため、余分な動きをしなければならないので、力のロスが大きいです。
伸び続けたチェーンを使い続けて発生するトラブル
伸びたチェーンを使い続けていると、どんなトラブルが発生するでしょうか。
それについては以下にまとめました。
伸びたチェーンによるトラブル
- 変速がスムーズにできない(レバーを押しても変速されない場合がある)
- 変速時に歯飛びする
- 走行中に突然チェーンが外れる
- リアギア(スプロケット)を削ってしまう
上記トラブルの中で特に注意したいのが、リアギア(スプロケット)を削ってしまうことですね。(詳しくは後述します。)
チェーンが伸びた状態で使い続けた結果、リアギアの歯まで削ってしまい、最終的にはチェーンだけでなく、リアギアまで交換する羽目に陥ります。
そのため、チェーンは寿命が来る前に交換するほうが無難ですね。
【自転車のトラブルを紹介】
チェーンが伸びる以外にも自転車を構成する部品によってきちんと整備していなければ、様々なトラブルを引き起こしますね。下記記事では、自転車のトラブルの原因や対応方法について紹介します。
【チェーントラブルの深堀り】リアギア(スプロケット)を削ってしまう話
チェーンが伸びる事によるトラブルは先ほど触れましたが、その中で厄介なのがリアギア(スプロケット)を削ってしまう話を深堀ります。
チェーンの一コマ一コマの間隔と歯の山と山との間隔がズレることで、かみ合わせが悪くなり、摩耗が激しくなります。
スプロケットの歯は、チェーンと接触する回数が多いため、摩耗の進行も早く、伸び続けたチェーンを使い続けていると、摩耗の速度を更に加速させてしまうのです。
酷い状態になると、「歯飛び」と呼ばれるチェーンが噛み合わず、歯の上を滑るような症状があらわれたりします。
また、フロントチェーンリングでは、変速時に歯からチェーンが離れずに、そのままフレームに噛み込んでしまう可能性もありますね。
チェーンの寿命を延ばす方法
チェーンの寿命を伸ばす方法として、洗浄と注油は欠かせません。
洗浄することで、チェーンに付着したゴミを洗い流し、チェーンが削られるのを防ぎます。
また、注油により金属の潤滑が良くなるため、摩耗を減らす働きがありますね。
注意点として、注油する前に必ず洗浄を行ないましょう。
つまり、洗浄と注油はセットで行わなければ、効果は発揮されません。
洗浄せずに注油だけ行って自転車を走らすと、かえってチェーンにゴミが付着しやすくなり、チェーンの寿命を縮める原因になりますね。
定期的にチェーンを洗浄して注油することで、寿命を伸ばすことができます。
チェーンの交換時期の判断方法
これまでお話してきたチェーンの寿命は目安なので、実際にいつチェーンを交換すれば良いのか、判断方法について述べていきます。
チェーンは、新品時の長さと比較して、0.7%伸びていたら交換が必要となります。
目視でチェーンの伸び率を図ることは困難ですね。
そこで、登場するのがチェーンチェッカーと呼ばれる工具です。
チェーンチェッカーを使用すると、チェーンの伸び率を図ることができるため、チェーンを交換するかどうかの判断ができるようになります。
チェーンチェッカーは2,000円前後で買えますので、一つ持って置くと便利でしょう。
チェーンチェッカーを持っていなくても、自転車ショップでチェーンの伸び率を図ってもらえるよ。もし、チェーンが伸びていたら即チェーンの交換を依頼できるね。
チェーン交換は自転車ショップへ依頼しよう
ある程度自転車を整備する技術がある人は、自転車ショップへ依頼しなくても自分でチェーン交換ができます。
そのためには、チェーンを切断するチェーンカッターなどの工具を揃えておく必要がありますね。
個人的には、チェーン交換は自分で行わず自転車ショップのプロの店員へお任せすることをおすすめします。
近年では、自転車ブームの影響でスポーツ系自転車へ乗る人が増えており、それに伴い交通事故の発生が増えていますね。
そのため、プロではない素人の整備した自転車が整備不良で事故を起こした場合は、全ては自己責任になる可能性が高いです。
あえてそんなリスクを取る必要はないでしょう。
「自転車技士」や「自転車安全整備士」の資格を取っているのならば、自分で整備するのも良いかもね。
まとめ
チェーンの寿命やチェーンが伸びることによるトラブルなどについて説明しました。
以下に本記事で説明した内容をまとめます。
- 自転車の走行距離が3,000~5,000kmも走れば、チェーンは寿命を迎える
- チェーンの伸びとは、チェーンが削られて、ガタツキ(隙間)が発生する状態のこと
- 伸びたチェーンを使い続けると、変速がスムーズにできない、変速時に歯飛びする、走行中に突然チェーンが外れるといったトラブルに発展する
- トラブルの中でもリアギア(スプロケット)を削ってしまった場合は被害が大きい
- 定期的にチェーンを洗浄して注油すれば、チェーンの寿命を延ばせる
- チェーンは、新品時の長さと比較して、0.7%伸びていたら交換が必要