厳島(宮島)の厳島神社(いつくしまじんじゃ)といえば、日本を代表する観光スポットとして知られ、世界遺産に認定されています。
また、厳島神社と聞くと、海にそびえ立つ朱塗りの大鳥居を思い浮かべる人も多いでしょう。海上に建つ社殿は、色鮮やかで神秘的。四季を通じて、国内外から多くの参拝者が訪れます。
古来より島そのものが神様として信仰されてきた宮島。そこに立つ厳島神社は、古くから多くの人々が篤く信仰し、今もなおその信仰は続いており、後世へ受け継がれていく。そんな厳島神社は、強力なパワースポットですね。
本記事では、宮島のシンボル「大鳥居」を中心に、日本三景に数えられる厳島神社の魅力を紹介します。
世界遺産「厳島神社」とは
厳島神社は、広島県廿日市市の厳島(宮島)の北東部、弥山の北麓に鎮座する神社です。
飛鳥時代より前の推古天皇元年(593年)に佐伯鞍職(さえきくらもと)により創建され、古くは「伊都岐島神社(いつきしまじんじゃ)」と呼ばれていました。
特に平家からの信仰が有名で、平清盛が安芸守(あきのかみ)になったことで、1168年(仁安3年)頃には、現在のような寝殿造りの大規模な海上社殿が整えられたといいます。その後、毛利氏に庇護され、1571年に御本社本殿の改築、反橋や大鳥居の再建など大規模な修復がなされました。
社殿は本殿・拝殿・回廊など6棟が国宝、14棟が重要文化財に指定されていますね。また、平家納経など多くの工芸品が国宝・重要文化財に指定されています。
全国に約500社もある厳島神社の総本社であり、1996年(平成8年)12月には、ユネスコの世界文化遺産に登録されました。
【周辺の見どころ】
厳島神社周辺の見どころを、下記記事で紹介します。
厳島神社のご祭神・ご利益・所要時間
厳島神社のご祭神は、以下の通りです。
- 田心姫神(たごりひめのかみ)
- 市杵島姫神(いちきしまひめのかみ)
- 湍津姫神(たぎつひめのかみ)
宗像三女神(田心姫神・湍津姫神・市杵島姫神)は、天照大御神(あまてらすおおみかみ)と素戔嗚尊(すさのおのみこと)の誓約により生まれました。日本の重要な海の道を守護する神様たちですね。
特に水の女神である市杵島姫神は、仏教の弁財天様とも習合しており有名です。田心姫神と湍津姫神の2柱は、出雲大社の神様「大国主命(おおくにぬしのみこと)」の奥さんですよ。
ということで、ご利益には、「交通安全・金運・商売繁盛・必勝祈願・勝負運・縁結び・夫婦円満」などがあります。
石の大鳥居から参道をゆっくり歩き、大鳥居や社殿をじっくり見物するならば所要時間は、1時間から1時間30分ほどかかる。社殿をサッと見て回るだけならば、30~40分もあれば十分でしょう。
ちなみに、弥山(みせん)の頂上付近には、奥宮の「御山神社(みやまじんじゃ)」があります。そこへ辿り着くのは大変ですが、興味がある方は足を運んでみてはいかがですか。
【神社詣りに役立つ話】
神社詣りに役立つ話を、下記記事で紹介します。
宮島のシンボル「大鳥居」を見る・歩く・撮影する
厳島神社の一番の見どころといえば、やはり大鳥居でしょう。
沖合から約200mのところに立つ朱塗りの鳥居は、青空の下、よく映えます。この鳥居のすごいところは、6本の柱は海底に埋めておらず、なんと鳥居の自重のみで立っていること。信じられませんね。
高さ16m、重さにいたっては約60トンもあるという。なるほど、これほどの重さがなければ、いかに穏やかな瀬戸内海といえども、潮流のある海中で立つ続けるなんて無理な相談だ。
主柱は、樹齢600年以上の楠なんだとか。平清盛の頃から何度も改修されました。2022年12月に完了した「令和の大改修」は、3年半にわたる大規模工事を経て、鳥居に鮮やかな色が蘇り、より存在感を示しています。
大鳥居の近くにある御笠浜(みかさのはま)は、定番の撮影スポットですね。集合写真用のベンチが設置されている。私が訪れた日は、多くの観光客が訪れており、修学旅行生も多かった。御笠浜では、大鳥居をバックに記念撮影をしていました。
おっと、忘れてはならない存在が「宮島のシカ」だ。島内には約500頭が生息しており、その内約200頭が町中で生息しているという。
なので、歩いていたら直ぐに出会いますよ。大鳥居の前に佇む構図でカメラにおさめたいが、彼らは気まぐれなので、思い通りにはならない。辛抱強く待っていれば奇跡の1枚が撮れるかも。
こちらは、厳島神社から大鳥居を撮った写真。ほう、中々ステキ!
鳥居を通して本土に広がる廿日市市が広がっています。それにしても、大鳥居の存在感が半端ないかな。
また、その日の天気しだいでは、綺麗な夕景を見ることができます。ライトアップまでの待ち時間まで、御笠浜で過ごしてみてはいかがですか。
【カメラに関する話】
厳島神社は大鳥居や社殿などフォトスポットが満載ですね。ぜひカメラ撮影を楽しもう。下記記事では、カメラに関する話を紹介します。
干潮時には歩いて大鳥居に近づける
嚴島神社の大鳥居は、干潮時になると、満潮時とはまた違った姿を見せてくれます。そして、それは姿だけでなく、歩いて鳥居のすぐそばまで近づけるのです。
一歩一歩近づくにつれ、目の前の大鳥居がよりハッキリと見えてくる。潮が引くことで、砂浜から水が湧き出しているので、足元には注意して歩こう。
そしてついに鳥居の足元前に到着。頭を上に向けると、大迫力の大鳥居の登場だ!!
うん、この表情も良いかも。満潮時に御笠浜から眺めた大鳥居も絵になっていましたが、より迫力のました姿は、干潮時に近づかなければ見られない。その姿から勝手にスーパー大鳥居と名付けた次第です。(笑)
ここで注目して欲しいのは大鳥居の足元。確かに海底に埋まっていない。私なんて、この動かぬ証拠を発見し、テンションが上がりましたね。
干潮の時間帯は、日によって違うため、宮島観光協会の公式サイトで事前に確認して訪れるのが無難です。その際、「潮位100cm以下」であれば歩いて大鳥居へ近づけるので、その時間帯を確認しよう。
夜の大鳥居は幻想的
宮島では、夜間に厳島神社を始め、参道や五重塔、多宝塔などがライトアップされます。
ライトアップの時間帯は、日没の30分ごろから23:00までですね。厳島神社の行事やイベントなどで一時的に中断する場合がありますが、基本的に毎日実施されます。これはハッキリいって嬉しい。
夜間は昼間とは違った、幻想的な景色に拍手喝采を送りたい。本土へ移動するフェリーの出航時刻により、海の上からライトアップされた大鳥居などを見物できるので、お見逃しなく。
まるで竜宮城、色鮮やかで華やかな海上社殿
寝殿造りの社殿群は、潮の満ち引きがある場所に建てられています。そんな神社は、国内唯一でここでしか見ることができません。
そもそもなぜ、このような場所に建てたのでしょうか。実は宮島全体が神様として信仰されてきたことに理由があります。
そのような場所だからこそ、木を切ったり土を削る行為は、ご神体を傷つける行為につながると考えられており、その結果、今のような海上神殿が出来上がりました。
御本社を中心にして東西の廻廊でつながり、客神社・天神社・能舞台などが建てられており、周囲の自然と調和のとれた空間を造りあげています。
こちらが、回廊の入口。ここから中へ入って行きましょう。
その前に、この入口前にある石灯籠の上には、カラスの像が見て取れます。
厳島神社を建てる際、佐伯鞍職が夫婦のカラスに導かれて、神様の鎮まる場所を見つけたことに由来しているそうだ。
朱塗りの色鮮やか回廊を歩き、社殿群を見て歩こう。
廻廊の長さは東西合わせて108間(約196m)もあり、この回廊自体がフォットスポットとしても素晴らしいですね。
注目すべきが、床板にわざと開けている隙間ですよ。これは、板の間に水を通すことで水圧を弱める工夫なんだとか。これにより社殿に浮力がかかるのを防いでいる構造だ。
海上社殿ならではの工夫なので、チェックしておきたい。
こちらは「鏡の池(かがみのいけ)」ですね。砂浜から水が湧きだしおり、潮が引くと手鏡のように見えるとか。ぜひ立ち寄ってみよう。
特に人気が高い場所が、高舞台から大鳥居に向けて伸びた先にある「火焼先(ひたさき)」です。
私が訪れた日は、参拝者で長蛇の列ができており、皆さん灯籠前で記念撮影をしていました。ざっと見ただけでも20~30人はいたので、さすがに並ぶ気がしない。並ぶのが苦手の人は、人が少ない早朝がねらい目です。
華やかな海上社殿が醸し出す神秘的な景観は、訪れる人々を魅了してやまないですね。
【神社仏閣の紹介(その1)】
旅先で訪れた神社仏閣を、下記記事で紹介します。
拝観は「客神社」から始めよう
客神社(まろうどじんじゃ)は、摂社の中で最も大きい神社です。東廻廊を歩くと、一番最初に辿り着きますが、スルーして拝殿へ行かないように。
向かいにある祓所(はらいじょ)でお祓いをしてから、参拝しよう。祀られている神様は、五男神で以下の通りです。
- 天忍穂耳命(あめのおしほみみのみこと)
- 天穂日命(あめのほひのみこと)
- 活津彦根命(いくつひこねのみこと)
- 天津彦根命(あまつひこねのみこと)
- 熊野樟日命(くまのくすびのみこと)
宗像三女神と同時に生まれたため、ご祭神の兄弟ともいわれている。厳島神社の祭事は、全てここから始まります。なので、一番初めに参拝しておきたいですね。
【神社仏閣の紹介(その2)】
広島県内で訪れた神社仏閣を、下記記事で紹介します。
国内有数の規模を誇る「御本社」がすごい
日本最大級の規模を誇る神聖な空間が御本社です。ここには、宗像三女神が祀られています。
手前から「拝殿→幣殿(へいでん)→本殿」と奥に続いており、御本社にある建物は全て国宝という、すごいですね。
参拝した後で、そのまま通路沿いに進まず、ぜひ拝殿を振り返って見て下さい。
手前には平舞台があり、その奥には高舞台や大鳥居が見て取れる。中々な素敵な光景です。奥まで歩くと火焼前へ辿り着きます。
御本社から少し離れたところには大国神社があり、大国主命が祀られている。
田心姫神と湍津姫神の旦那さんですね。ここでも縁結びをお願いしておこう。
かつて本殿へのお供え物は、こちらの大国神社にお供えした後で、お供えされていました。
近くからは、本殿の屋根が見えます。
見事な曲線を描く檜皮葺(ひわだぶき)の屋根は実によい感じ。日本最大級の広さを持つ本殿なので、お見逃しなく。
こちらは、重要文化財の天神社(てんじんしゃ)ですね。学問の神様で知られている菅原道真公をお祀りしています。
室町時代末期に、毛利隆元が連歌の会場として寄進したもので、明治初頭までは歌会が催されていました。
海に浮かぶ唯一の「能舞台」と「高舞台」に注目
厳島神社の能舞台は、国内で唯一の海上に設けられている貴重なもので、満潮時には海に浮かんで見えます。現在のものは、1680年に再建されました。
共鳴用のかなめはありませんが、代わりに床板を張り、足拍子の響きをよくするような工夫が施されています。
年に10回ほど、「蘭陵王」や「納曽利」などの舞楽が披露されるので、機会があればぜひ足を運んでみよう。きらびやかな装束で優雅に舞う姿は、平安時代の情景を思い浮かべるでしょう。
こちらは、高舞台ですね。厳島神社のパンフレットでよく見かけるので、知っている人も多いのではないでしょうか。
大阪の四天王寺・住吉大社の石舞台とともに舞楽の「日本三舞台」に選ばれています。海を背にして、高舞台を正面から見ると、奥には御本社が見えますね。
反橋と長橋は見学のみで渡れません
重要文化財に指定された「反橋(そりばし)」は、毛利隆元が再建した時に今のような形状になりました。
この橋を実際に使われていたのは、朝廷の使い(勅使)だったため、勅使橋(ちょくしばし)ともいわれていたそうです。現在この橋は渡れませんので、じっくり観察しよう。
こちらの橋は「長橋(ながばし)」です。
神様へのお供え物を運ぶ通路だったようで、毛利氏が再建しました。こちらの橋も重要文化財ですよ。反橋と同じように渡れないのは、残念ですね。
厳島神社の基本情報とアクセス
住所 | 広島県廿日市市宮島町1-1 |
電話番号 | 0829-44-2020 |
拝観時間 | 1/1 0:00~18:30 1/2~1/3 6:30~18:30 1/4~2月末 6:30~17:30 3/1~10/14 6:30~18:00 10/15~11/30 6:30~17:30 12/1~12/31 6:30~17:00 |
拝観料 | 大人 300円(250円) 高校生 200円(150円) 中小学生 100円(70円) 50名以上で団体割引きあり、( )内の金額は割引き後の料金 |
【アクセス】
- 宮島口旅客ターミナルからフェリー(約10分)にのって宮島へ上陸後、徒歩約10分
- JR宮島口駅から宮島口旅客ターミナルまで徒歩約4分
- 広島電鉄・広電宮島口駅から宮島口旅客ターミナルまで徒歩約1分
- 山陽自動車道「廿日市IC」か「大野IC」から車で約15分ほどで宮島口へ到着
厳島神社の駐車場
厳島神社には、参拝者用の駐車場はありません。
フェリーで宮島まで渡れますが、島内は駐車場がほとんどなく、道路も狭く路地が多いため、車での移動はやめた方が無難です。
本土のフェリー乗り場周辺には、たくさん駐車場があるので、そちらを利用しましょう。
まとめ
海上に建つ社殿が印象的な厳島神社。悠久の歴史を感じ取れる世界でも稀な建築物ですね。
青空の下、海にそびえ立つ朱塗りの大鳥居は、緑の原始林をバックによく映えており、フォトスポットとしても素晴らしい。
また、干潮時には大鳥居の近くまで歩いて近づけるので、ぜひ近くでその勇姿を見上げてみよう。
平安の世より連綿と続く荘厳華麗な建築美と篤い信仰は、後世に引き継ぐ大事な遺産です。