あなたは、自転車のギアの組み合わせをどう考えていますか。
自転車のクランクに付いているギア(歯車)と、後輪に付いているギアの組合せを変えることを「変速」といいますね。変速機は、このギアの組合せを変化させる機構のこと。
ギアの選択を変えれば、ペダルを踏む力とペダルを回すスピードをコントロールできる。長時間走る自転車旅では、この変速機のギアの組合せがとても大事です。
変速機を操作して、平坦な道をより速く駆け抜けたり、山道や峠などのつらい上りでも楽に上れるようになる。
本記事では、私がどのようにして最適なギア構成を考え付いたのか紹介します。 (ギア比による速度の変化もまとめました。)
私は主にロードバイクで旅をしていますので、本記事で紹介する内容は、スポーツ系自転車のギア構成ですよ。なので、ママチャリなど実用車は対象外なので悪しからず。
自転車旅に適した変速機のギア構成
スポーツタイプの自転車には、ほとんど変速機が付いています。
自転車を購入した時に付いていた変速機をそのまま使い続ける人は、それなりに多いですね。
それが自分に合っているギア構成ならば何も問題はありませんが、少しでも不満があるのならば、自分にとって最適なギア構成について検討してみましょう。
自転車には、ペダルを回すクランクと後輪の二箇所にギアが取り付けられている。
それは、クランクに取り付けているフロントギアと、後輪に取り付けているリアギアだ。この2つのギアを適切に組み合わせることで、自転車のポテンシャルを引き上げます。
私は以下について考えて、変速機のギアの組み合わせを決定しました。
- 自転車と自転車で運ぶ荷物の総重量
- 平坦な道の巡航速度
- 坂道や山道を楽に上る
- 下り道の降下速度
- 変速機の製造メーカー
それぞれ考察した内容について後述しますが、自分の考え方や脚力により、ギアの組み合わせは変わるもの。ギアの最適な組み合わせは人によって様々なため、絶対的な正解はありません。
私の経験を踏まえてお話すると、フロントギアが「50-34t」、リアギアが「14-32t」が自転車旅に適していると考えます。
長距離を長い時間をかけて走る自転車のギア構成は、自転車旅を続けていく上で非常に大事であり悩ましい問題です。
自転車旅はとても魅力的で楽しいですが、適切なギアの構成ができていなければ、つらい旅になる可能性がある。
時間をかけても良いので、自分自身が納得のいくギア構成を考えましょう。
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快適な自転車旅を続けるための考察
自転車と自転車で運ぶ荷物の総重量
自転車は総重量が軽いほどスムーズに快適に進みます。特に坂道や山道を上っている時は影響が顕著に表れますね。
それでは、総重量はどれくらいが良いのでしょうか。
私の経験上、自転車と自転車で運ぶ荷物の総重量は12kg未満にするべきだと考えています。12kg未満の場合は、自転車で走行する上で快適さ及び爽快感はあまり失っていません。
体重や脚力は、人により違いますので一概にはいえませんが、一つの目安として総重量を12kg未満と考えてみて下さい。
平坦な道の巡航速度
自転車で長い距離を決まった時間内に走るためには、巡航速度が速いほど良いです。
しかし、速すぎても体力の消耗が激しくなったり、走行中に周りの景色を楽しむ余裕を失ってしまう。そこで、自転車旅では適切な巡行速度はどれくらいだろうか考える必要がありますね。
体力や脚力は人により違うため一概にはいえませんが、私の経験でお話すると「23~28km/h」ぐらいが遅すぎもせず、速すぎもせず、丁度良いと考えています。
旅先で観光などで思った以上に時間を使ってしまい、巡航速度を上げて走行しなければならなくなった時に備えて、平坦な道は33km/h以上の速度を出せることが望ましいですよ。
坂道や山道を楽に上る
自転車で遠くへ出かける場合、走行コースによっては、坂道や山道、峠などを上る必要が出てきます。
これらの道は、重力に逆らって走るため、平坦以上に体へ負荷がかかるもの。また、精神的にもつらいですね。
その負荷を和らげて、楽に上るためには軽いギアが必要です。たとえ時間がかかっても軽いギアでペダルを回し続ける方が、自転車旅には適している。
なので「乙女ギア」と呼ばれる28t以上のギアを使用すれば、スピードこそ出せませんが、体への負担を少なくすることができます。
リアギアには、28t以上のギアを最低でも1つは入れておきましょう。
下り道の降下速度
自転車で急な坂道を下ると、ペダルを回さなくても簡単にスピードが出てしまいます。しかし、安全面を考えるとスピードの出し過ぎは大変危険ですね。
なので、必ず自分で自転車をコントロールできる範囲にスピードを保たないといけません。
ちなみに私の場合は、坂道を下る際にスピードが30~50km/h未満になるようブレーキをかけて調整しています。
自転車旅では長時間・長距離を走るためのペース配分が重要となる。よって、坂道を上った後の下りは必要以上にペダルを回さず、体の休息にあてる方が良いでしょう。
下り坂では重いギアを回し、無理にスピードを上げる必要がないため、11tや12tの重いギアは不要ですよ。また、下り坂で足が空まわりするならば、危険なためペダルを回すのはやめましょう。
変速機の製造メーカー
株式会社シマノは、世界最大の自転車パーツメーカーで約85%の世界シェアを握っているといわれています。
そのため、日本でメカトラブルがあった場合や部品交換を行う際には、シマノ製の変速機を使用していると自転車ショップでスムーズに短い納期で交換できるケースが多い。
私は自転車旅を長い期間することを考えて、品質が良くメカトラブルにも強いシマノの変速機を選びました。
シマノのギア構成
シマノではロードバイクやマウンテンバイク別にギアのラインナップが異なります。(クロスバイクはどちらのギアも使用可能。)
ロードバイクでは、変速機を含むコンポーネント(自転車を構成する主要パーツのこと)のグレートにより、ギアの組み合わせが決まっている。
グレートには「①ソラ ②ティアグラ ③105 ④アルテグラ ⑤デュラエース」の5つがあります。
〇の中の番号が大きいほど軽く品質が良いため、デュラエースが一番良い物だよ。
自転車旅を長く快適に続けるためには、耐久性が良く変速性能も良い「③105 ④アルテグラ」のどちらかを選べば十分ですね。
一番性能の良い「デュラエース」を選んでも良いですが、これはレース用でかなり高価ですよ。
2021年4月時点では最新の「③105 ④アルテグラ」のギア構成は以下になります。
フロントギア | 46-36t ※ 50-34t 52-36t 53-39t |
リアギア | 11-25t (11-12-13-14-15-16-17-19-21-23-25t) ※ 11-28t (11-12-13-14-15-17-19-21-23-25-28t) 11-30t (11-12-13-14-15-17-19-21-24-27-30t) 11-32t (11-12-13-14-16-18-20-22-25-28-32t) 11-34t (11-13-15-17-19-21-23-25-27-30-34t) 12-25t (12-13-14-15-16-17-18-19-21-23-25t) 14-28t (14-15-16-17-18-19-20-21-23-25-28t) ※ |
ギア構成の考察と検討
これまでお話しました、快適な自転車旅を続けるための条件に当てはめてみると、フロントギアは「50-34t」が良いでしょう。
50t以上があれば、平坦な道で33km/h以上を出すことはそれほど難しくはありません。
尚、「52-36t、53-39t」はリアギアとの組み合わせで28t以上の乙女ギアの性能を出し切ることが難しいため採用しませんでした。
乙女ギアの性能を出し切るには、フロントギアの歯数は少ない方が良い。その理由は、歯数が多くなれば、ギア比が高くなり、ペダルを回すのが重くなるからです。
リアギアは、乙女ギアが含まれている物から選びます。「11-28t、11-30t、11-32t、11-34t、14-28t」の内、自分の脚力に合うギアを選択するとよい。
私の考えでは、まず初めに平坦な道を自転車で走った時、もっとも楽で速く進むことができる最適な歯数を調べます。
私の場合は18tが最適な歯数でした。平坦な道を走る場合は、自分の最適な歯数に対して、前後に歯数が一段づつ飛んでいるギアを多用する可能性が高いですね。
実際に18tを中心として平坦な道を走ってみると、多用するギアは「17-18-19-20」でした。ちょっとしたアップダウンがある道では、これらのギアのみで走りきれた次第です。
これに乙女ギアを加えると、該当するリアギアの構成は「14-28t」しかありません。
確かにフロントギアが34tでリアギアが28tの組み合わせでは、ほとんどの坂道を上れることは経験上わかっています。
しかし、いざという時にもう一段軽いギアがあるほうが体力的にも精神的にも楽であるため、32tを付けることに。
「11-32t (11-12-13-14-16-18-20-22–25-28-32t)」の構成では、「20-22」と「25-28-32」はそれぞれ一つになっていて分解できません。
そこで、下図のように14-28tと11-32tのギアを2つ使用して歯車の組み替えを行います。
そうすることで「14-32t 」のリアギアが誕生。
結果的に平坦な道では「17-18-19-20」を多用して、坂道では最大32tのギアを使用できるので驚くほど快適なライドが可能になりました。
ギア比を計算して速度を求める
ギア比とは、ペダルを1回転漕いだ時にタイヤが何回転するかを表した数値であり、この数値が高いと漕ぎ足が重くなり、低いと軽くなる。
フロントギアは「50-34t」、リアギアは「14-32t」の構成によるギア比と自転車の速度について下表に示します。(ケイデンスは80rpmと90rpmで速度を計算しました。)
ギア比の計算は下記計算式で求めます。
「クランクに付いているギアの歯数 ÷ 後輪ついているギアの歯数」
たとえば、クランク側に付いている歯数が50で、後輪に付いている歯数が20の組み合わせならば、「50÷20」でギア比は「2.5」になる。
ギア比を計算して速度を求めたところ、なかなかバランスが良く、特に平坦路と坂道に強いと考えます。
まとめ
フロントギアとリアギアの適切な組み合わせにより、快適な自転車旅ができるようになります。
お店で販売している自転車をそのまま購入したならば、始めから組み込まれているギアをそのまま使用することが多いでしょう。
そのため、ギア構成を深く考えていない人も多いのではないでしょうか。
私の経験を踏まえてお話すると、フロントギアが「50-34t」、リアギアが「14-32t」が自転車旅に適していると考える。
時間をかけても良いので、自分自身が納得のいくギア構成を考えて、快適な自転車旅を続けていきましょう。