自転車に乗っていると、「あれ、なんか真っすぐ進まないな」なんて思った経験がありませんか。
それは、自転車が発しているアラートですよ。
もしかしたら、ホイールが歪んでいる可能性があります。
ホイールの歪みを「振れ」と呼んでいますが、この状態に陥ると自転車は走りにくくなり、決して自然に直りません。
この振れを放置したまま自転車に乗り続けていれば、思わぬ危険な目に合う可能性がありますね。
本記事では、以下の内容について説明して、振れに対する知識を学べます。
ホイールが歪んだ(振れた)場合の影響
私は町中などで、ごく稀にホイールが振れている自転車を目撃することがあります。
そんな自転車を見ていると常に「危ないな」と感じますね。
実際にホイールが振れると、どのような悪影響が出るのでしょうか。
ホイールの損傷の程度にもよりますが、タイヤの揺れやハンドルのブレと言った自転車の操作に影響がでてきます。
そうなると、タイヤの片寄りで摩耗などが起こり空気が漏れたり、タイヤのスリップやパンクなど思わぬ事故に合う可能性がありますね。
ホイールの振れが発生したからと言って、即使えなくなる訳ではありません。
振れが少ない場合は、全く影響を感じたりしませんが、振れが大きくなるに従い、ただ真っ直ぐ走るのがとにかくしんどいですね。
そのため、自転車の走行時に違和感を感じたら、自転車へ乗るのは控えておいた方が安全です。
特に小さな振れは、自転車を運転していても気付きにくいため、定期的に点検することで、早期にトラブルの目を摘み取れます。
一度振れが発生すると、対処するまで元の状態には決して戻りません。振れ取りの技術に自信があれば自分でも行えますが、プロ(自転車ショップ)へ依頼する方が安心感がありますね。
ホイールの振れの種類
ホイールの振れには「縦振れ」と「横振れ」の2つがあります。
縦振れは、リムと対面のスポークとの張力のバランスが取れていない時に起こります。
ホイールが真円になっていない状態なので、走行中に振れが大きいとタイヤから突き上げるような衝撃が周期的に起きるため、乗り心地は最悪です。
縦振れに関しては、1.5mmぐらいでしたら誤差と考えて差し支えないため、無理に振れ取りをする必要はありません。
横振れは、左右のスポークの張力のバランスが取れていない時に起こります。
横振れが大きい場合は、ブレーキシューに接触する可能性があり、その影響で走りにくいですね。
縦振れ・横振れは、専用の道具を使って振れの原因となっているスポークなどを特定して、調整を行います。
ホイールが歪む原因
自転車を大切に扱っていたとしても、ホイールの歪み(振れ)は突然発生する物です。
ホイールが歪む原因は、大半はスポークが以下の状態の時に発生します。
- スポークが曲がる
- スポークが折れる
- スポークやニップルが緩む
スポークは細くてもろい部品なので、強い衝撃を与えると折れたり曲がるもの。
これらのスポークのトラブルにより、ホイールの回転時における重さのバランスが崩れてしまい、ホイールの歪みとなって表面化します。
ホイールの歪みの原因は、主にスポークがらみのトラブルですね。
ホイールの歪はスポークの緩みから、なぜ緩むのか
スポークが折れたり曲がったり、テンション(張力)が緩む主な原因を以下にまとめました。
- 自転車を乗り続けた影響
- 激しい道を走った影響
- 重い荷物を載せた影響
それぞれについて詳しく説明します。
自転車を乗り続けた影響
自転車に乗り続けていると、経年でスポークやニップルは緩みだします。
ホイール1つに対して、一般的に16~32本ほどのスポークがありますね。
尚、メーカーから販売されている完組みホイールは、フロント用とリア用でスポーク数が異なる事が多く、スポーク数も少ないです。
メーカーにより、ホイールの設計思想が異なっているからスポークの数が違うのでしょう。
スポークの数が多いほど、耐荷重が強くなりますが、ホイール自体が重くなったり、風の抵抗を受け易くなるなどのデメリットがあります。
尚、完組みホイールは、スポークの数が少なくても荷重に強くなるよう設計されているのでご安心下さい。
スポークやリップルが緩みだすと、ホイール全体に張力の均一性が保てなくなるため、リムが部分的に歪んできます。
そうなると、再度張力の調整が必要になります。
どうしてもスポークの数を多くしたいのならば、手組ホイールを選択しましょう。
【自転車旅に役立つアイテムの紹介】
自転車旅に役立つ様々なアイテムを、下記記事で紹介します。
激しい道を走った影響
自転車の走行中に段差がある事に気付かず、勢い良くぶつかったりすると、突然の衝撃に戸惑った経験がある人もいるでしょう。
そのような激しい衝撃は、ホイールのリムを痛める原因になります。
激しい衝撃により、ホイールが一目でわかるような変形をした場合は、修理に出すしかない事が一目瞭然のためわかり易いです。
しかし、特に問題が無いように見えても、全体に渡り僅かに歪んでいる可能性があります。
リムに強い衝撃を与えた後で、走行中に違和感を感じるようでしたら、ホイールの歪みを疑ってみましょう。
自転車のスピードを出しながら凹凸の大きい路面を下ったり上ったりしていると、リムに負担がかかります。スピードを出せば出すほど衝撃は激しくなりますね。
重い荷物を載せた影響
自転車旅では、自転車にキャンプ道具一式などの重い荷物を載せて旅を続けたりします。
自転車で荷物を載せて走っていると、足回りを支えているホイールのスポークには、常に負荷がかかりますね。
そのような状態が続いていれば、スポークに負荷が蓄積されていき、最後には負荷に耐え切れなくなり、スポークが曲がったり、折れたりするのです。
特にメーカーから販売されているロードバイク用の完組みホイールは、スポークの数が少なく、1本折れた状態で旅を続けて行くと、次々とスポークが折れ出していく可能性が高いため、最終的には自転車が走れなくなります。
ロードバイクは、もともと重い荷物を載せて走る事を想定していないよ。不可能ではないけどね。
確かにそうだね。私の経験上、ロードバイクでも旅する日数が短かければ、キャンプ道具一式(調理器具なし)を運んでも特に問題はなかったね。自転車で日本一周をしている人の話を聞くと旅の途中でスポークが折れたりするそうだよ。
自転車に重い荷物を載せて長期間旅を続ける場合は、荷物の重量によっては、スポークを多くできる手組みホイールを使用した方が安心感があります。
ホイールの振れ取り(対処方法)
ホイールの振れ取りは、職人作業なので素人は手を出さない方が無難です。
振れ取りは、素直に自転車ショップへお任せしましょう。
どうしても自分自身で振れ取りを行いたい人のために簡単に説明します。
まずは、ホイールの振れ取りを行うには、以下の道具が必要ですので用意しましょう。
- ニップルレンチ(ニップル回し)
- 振れ取り台
振れ取りの一連の作業手順は以下になります。
- 振れ台を使ってリムが歪んでいる部分を正確に突き止める
- ニップルレンチを使って、問題のスポークを抜く
- スポークを新しく差し替える前にスポークのネジ山かニップルに油を指す
- 振れている部分にスポークを新しく差し替える(張力を考慮)
- 手順4で差し替えたスポークに対するニップルをニップルレンチで締める
- 他のスポークの張力を調整する
- 振れ台を使ってスポークの微調整を行なう
振れ取りの作業手順自体は、それほど難しくはないため理解は容易ですが、実践して何度も失敗を繰り返しながら経験値を上げていくしか上達の道はありません。
最終的に全てのスポークを均一なバランスで調節を行ない、揺れもミリレベルで発生させなくするには、非常に高度な技術が必要です。
ハブを中心に完全な真円を描くように調整するので、まさしく職人技としか言いようがありません。
まとめ
ホイールが歪む原因と対処方法について説明しました。
以下に本記事で説明した内容をまとめます。
- ホイールが歪む(振れる)と、損傷の程度により、タイヤの揺れやハンドルのブレと言った自転車の操作に影響がでる
- 一度振れが発生すると、対処するまで元の状態には決して戻らない
- ホイールの振れには「縦振れ」と「横振れ」の2つがある
- ホイールの歪みの原因は、主にスポークがらみが多い
- ホイールの振れ取りは、職人作業なので素人は手を出さない方が無難
定期的にホイールを点検して、歪みによるトラブルの芽を早期に摘み取りましょう。