自転車は、ペダルを漕ぐことで前へ進みます。それは、ロードバイクでも変わりません。
しかし、ロードバイクで速く走るためには、ペダリングスキルの上達が必須ですね。
初心者は「ペダル(クランク)を回すのにスキルが必要なのか?」と思いがちですが、これで中々奥が深い。
正しいペダリングを身に付ければ、確実に速く走れるようになります。また、シチュエーションによって3つのペダリングを使い分けて走りましょう。
本記事では、ロードバイクのペダリングについて、基本となるスキルをお伝えします。
基本スキルとなる回すペダリングを身に付けよう
ペダリングとは、一言でいうと「自転車のペダルを回すこと」です。
ロードバイクへ乗り始めた人や、これから始めようか考えている人には、「ペダルを漕ぐ」と言った方が伝わりやすいですね。
しかし、ロードバイクの世界では、漕ぐペダリングと回すペダリングは分けて考えます。
2つのペダリングの違いについては後述しますが、ママチャリに乗っている人のペダリング効率は、30~40%程度と言われており、ペダルを漕いだ力が余り推進力になっていません。
ロードレースで活躍するプロ選手になると、ペダリング効率が80%以上と言われていますので、その差は歴然です。そのため、回すペダリングを身に付けてペダリング効率を上げれば、自ずとスピードアップが図れます。
更に以下のシチュエーションによって、ペダリングを使い分けると効果的ですよ。
それぞれのシチュエーション別によるペダリングについては、後でくわしく説明しますね。
正しいペダリングを行なえば、疲れを最小限にして速度を保つことができ、結果的に速く走れるようになります。
2つのぺダリングの違いとは
漕ぐペダリング
ペダルの回し方について、よく時計を用いて表現しますので、本記事でも時計を用いて説明します。
ママチャリのようにペダルを漕ぐと、足の力は、下図のように下死点で下方向へ向かうため、クランクの回転にブレーキがかかります。
そのため、踏み込んだ力が余り推進力に反映されません。
つまり、クランクの回転に合わせて、加速とブレーキの力が交互に加わっているため、ペダリング効率が悪くなるのです。
のんびり走りたい場合は、このペダリングでも特に問題はありませんが、ロードバイクのようにスピード出して速く走りたい場合、「漕ぐペダリング」はパワーロスが大きく、適しているとは言えないですね。
【ゆっくり走ろう】
ロードバイクは速さが魅力的な乗り物です。しかし、あえてゆっくりのんびり走るのも面白いですね。下記記事では、ゆるーく走る魅力について紹介します。
回すペダリング
足のパワーを効率よく推進力に変えるためには、「回すペダリング」が重要になってきます。
ペダリングの理想は、常にきれいな円を描くように足のパワーをペダルに加え続けることです。
回すペダリング
- 0時-2時:徐々にペダルを押し込む
- 2時-4時:ペダルを押し込む
- 4時-0時:力を抜いて、足をきれいな円を描くように回す
言葉で説明すると、簡単そうに思えますが、初めて実践した場合、これが中々難しい。
慣れて体に覚え込ませるまで、かなり苦労しますね。
尚、感覚的にペダルを押し込むタイミングは、早めの1時から3時までにすると上手く力が伝わっている感じがします。
私は医者ではありませんので、詳しいことは分かりませんが、人間の脳が「ペダルを踏め」とシグナルを送っても、実際に足が動くまでには、わずかなタイムラグが生まれます。
そのため、意識して少し早めの踏み込みにより、結果的に十分な力が伝わっているように感じますね。
シチュエーションによってペダリングを使い分ける
発進・加速時のペダリング
発進時や加速させたい場合は、ペダルに力を入れましょう。
この時、太腿(ふともも)の前腿を使ってペダルを踏み込めば、一番パワーを引き出せますね。
ペダルに力を入れて踏み込むことで、パワーがしっかり推進力に変ります。
ポイントとして、以下について意識して行なうと、より加速を感じられるでしょう。
力を入れてペダルを踏み込む時のポイント
- ダンシングを取り入れる
- 脇は締め気味にする
- 上半身をふせぎみにする(下ハンを握ってもOK)
巡行時のペダリング
巡航時のペダリングは、体力の消耗を防ぐためにも、真円を描くようにクルクル回すぺダリングを心掛けましょう。
出来るだけスピードを落とさないように、足全体を使いながら一定のケイデンスを保つのが良いです。その際、チェーンの上部がずっと一定のテンションを保っているのがポイントですよ。
引き足については、賛否両論がありますが、絶対に必要な訳ではありません。
引き足でグイグイ足の力を使っていると、返って疲れやすくなりますので、軽く引き上げる程度で十分ですね。
ヒルクライム時のペダリング
ヒルクライムをする時は、お尻の位置をサドルの前へ動かし、重心を移動させることがポイントです。
これにより、傾斜で傾いた分をクランクの上から踏める位置になりますね。
また、お尻を使って腿を動かすイメージでペダリングしましょう。
このお尻を使うペダリングと普通のペダリングを織り交ぜながら、体や足に掛かる負担を分散させることで、長い時間ヒルクライムを楽しめます。
回すペダリングの練習方法
ペダリングの練習は、片脚で交互にペダリングを行なえば効果的です。
この方法により、上死点や下死点で力を抜くタイミングを掴めますね。更にどこでペダルを踏み込むべきかも分かってきます。
最初は、ゆっくりで良いので正しくペダリングができるよう意識的に回していきましょう。ポイントは、股関節を意識しながら、大きく動かすことです。
正しくペダリングが出来てきたら、今度はペダルを回すスピードを少し速めて再度チャレンジします。
ギアを上げたり、ケイデンスを速めたりして、スピードを速めても正しくペダリングが出来ていれば、更にスピードを上げてみて下さい。
常に正しいペダリングを様々なスピードで出来るようになりましょう。
ロードバイクに限った話ではなく、正しい動作を習得するには、それ相応の時間がかかりますよ。
気軽にサイクリングしながら、意識して回すペダリングを実践していれば、少しづつですが、確実に速く走れるようになれます。
【サイクルイベントに関する話】
練習でペダリングスキルが上達してきたら、サイクルイベントへ参加してみませんか。普段から一人で走っているのならば、他の人の走りは参考になるはず。速い人のペダリングスキルを確認してみましょう。下記記事では、サイクルイベントについてお話します。
余分な力を抜き、ペダルに体重を乗せる
体に余分な力を入れないことも大切です。
体に余分な力が入り過ぎていると、呼吸はキツクなるし、足が疲れるのも早くなります。
特にハンドルには、体重をかけず軽く手を添えるだけにしましょう。
胴回りの筋肉で上半身を支え、ペダルを踏み込む時に、体重を乗せるよう意識します。こうすると、ペダルに体重が乗って回しやすくなりますね。
イメージしにくい場合は、ハンドルに体重をかけないだけでも効果がありますよ。
ペダルを高速回転させる時のコツ
先ほども触れましたが、ペダリングのポイントは「股関節を意識して回す」ことです。
つま先でペダルを踏むのではなく、股関節を大きく動かして回します。
イメージ的には、「太鼓を叩く姿を想像して下さい。バチを手に持っている部分が股関節とすると、大腿骨(だいたいこつ)で太鼓を叩く」ような感じと言えば分かりやすいでしょうか。
つま先で踏んでしまうと、力が体より遠いところで働いてしまうため、パランスを取るにも力が必要となり、かえって疲れやすくなりますね。
股関節を使えば、体の近いところにあるため、バランスを取るのもそれほど力が必要ではなく、ロードバイク自体も蛇行せず安定して走れます。
また、体幹筋肉を使うため、疲れにくいメリットがありますね。
ペダリングに引き足は必要か?
ビンディングペダルとビンディングシューズを使用した場合、引き足が使えるようになります。
先ほども触れましたが、必ずしもペダリングに引き足が必要な訳ではありません。
引き足を使う場合は、足の重量をペダルに乗せない程度で軽く引き上げるだけで良いです。
具体的には、ペダルが下死点を通過後に7時から11時までの間で、引き足を使うことで、常にペダルに力をかけていられます。
引き足で使う筋肉は、主に腸腰筋(ちょうようきん)なので、踏み足で使う筋肉と異なるため、交互に使えば筋肉の疲労を分散できるでしょう。
尚、無理に引き足を使えば、そのダメージは大きく正しいペダリングが困難になってきます。
コンマ数秒の世界に、踏み足や引き足を意識しながらペダルを回すのは、誰しもが出来る事ではありません。
そのため、踏み足のみを意識した方が確実に速くなれます。
初心者はペダリングスキルを身に付けよう
正しいペダリングをするためには、自分の体にあったポジションが適切なことが大切です。
サドルやハンドルの高さ・角度をきちんとセッティングしてからペダリングの練習を始めましょう。
初心者の内にペダリングスキルをマスターしていれば、上達も早いです。
「回すペダリング」で無駄な力を使うことなく、パワーロスの軽減や筋肉の負担を減らせます。
結果的にロードバイクで楽に速く遠くへ走れるようになれるため、走ること自体が今まで以上に楽しくなるでしょう。