普段からロードバイクに乗っている方にとっては、ホイールサイズが「700C」と言うことをご存じの方が多いでしょう。
では、この「700C」とは、どういう物なのか知っていますか。
そういう風に聞かれると「よく分からない」「700cmという意味?」などのように答える方がいても不思議ではありません。
実は、この「700C」はホイール規格の1つです。
日常の足として昔から幅広く使われているシティーサイクル(ママチャリ)のホイールは、26インチや27インチなので具体的に分かりやすいのですが、「700C」と一体何が違うのでしょうか。
本記事では、ホイールの規格「700C」の特徴をお伝えし、ロードバイクに採用された理由がわかります。
ちなみに、昔はロードバイクでも27インチのホイールが使われていた時期がありました。
ロードバイクのホイールは「700C」が主流です
ロードバイクやクロスバイクのホイールは、標準サイズが「700C」とほぼ決まっています。
ロードバイクやクロスバイクは、主に舗装路を快適に走れることが重要視されているため、大きな外径でスピードを維持しやすく、地面から受けるショックを抑制できる700Cが選ばれました。
ロードバイクは、ヨーロッパが本場であるため、欧米人向けのサイズで作りがちですね。
日本人の平均身長は、欧米人と比べて5cmほど低いと言われていますが、そのため小柄な日本人には、700Cが合わない人もいます。
ロードバイクのホイールは、700C以外にも650C、650Bがあります。女性など小柄な人には、650C、650Bの方が使いやすいです。
また、グラベルロードでは、タイヤのエアボリュームが大きい650Bが利用されたりします。
自転車の種類によっては、以下のように様々な大きさのホイールが乱立しています。
自転車の種類 | 主なホイールサイズ |
---|---|
ロードバイク | 700C |
クロスバイク | 700C |
マウンテンバイク | 26インチ、27インチ、29インチ、27.5インチ |
シティーサイクル(ママチャリ) | 26インチ、27インチ |
小径車、折りたたみ自転車 | 16インチ、18インチ、20インチ |
ロードバイクやクロスバイクは、スポーツ系自転車として最も生産台数が多いため、規格が乱立するとメーカーやユーザーが混乱する原因になる訳です。
そのため、ロードバイクやクロスバイクのホイールサイズは「700C」と覚えておけば良いでしょう。
700Cの「700」や「C」の意味は
700Cの「700」は、外径が700mmと言う意味です。
ホイールの外径ではなく、ホイールにタイヤを装着した状態で、車輪全体の外径が700mmになることを表しています。
近年は、タイヤの幅が以前より小さくなっているため、実際は700mmより小さい事が多いですね。
例えば、「700×23C」の場合は、ホイールにタイヤを装着した時の直径が67mm程度であり、700mmと比べて30mmも小さくなっています。
外径が700mmと言ったら、ほとんど27インチだね。(27インチ=685.8mm)
700Cの「C」は規格の種類を表す記号です。
決して「cm」の「c」ではありません。
これ絶対に勘違いするでしょう。何も知らなければ「C」を規格の番号と思うのは無理があります。
ちなみに私も初めてスポーツ系自転車(クロスバイク)へ乗った時に勘違いしました。(笑)
かつてはリム幅によって、700Aや700B、700Dなどの規格も存在していましたが、今ではなくなり700Cだけが残っています。
そのため、ロードバイクやクロスバイクのタイヤサイズは、「700×〇〇C」と表記される事が一般的です。
例えば、タイヤ幅が25mmの場合では、「700×25C」と表記されます。
700Cの特徴
ホイールの直径が大きいほど、ペダルを一回転させた時に進む距離が長くなります。
更にスピードの維持がし易いため、もともとは競技用の自転車であったロードバイクと相性はバッチリですね。
また、直径が大きいと言う事は、地面から車体までの距離が長くなるので、地面から受けるショックを抑える効果が期待できます。
以下に700Cの特徴をまとめました。
- ペダルを一回転させた時に進む距離が長い
- スピードの維持がしやすい
- 地面から受けるショックを抑えられる
なぜ、ロードバイクに700Cが採用されるのか
先ほども触れましたが、700Cの規格は、ロードバイクと相性が抜群に良く、舗装路を颯爽に駆け抜けれます。
ペダルの漕ぎだしの重さは、変速機のギアを変える事で軽くできるため、特に問題にはならないでしょう。
ペダルを一回転させた時に進む距離が長く、スピードの維持がし易い700Cの恩恵は、ロードレースやロングライドで十分に発揮されます。
特に長距離を走るロングライドでは、地面からのショックを抑える効果は重宝しますね。
それに、ロードバイクは、小径車のように小回りが利く必要がありません。
700Cと27インチは同じではありません
1980年前半は、ロードバイクではシティーサイクルと同じく27インチのホイールが利用されていました。
27インチをmmに換算すると685.8mmになります。(1インチ=25.4mm)
700Cは直径700mmなので、27インチとは14.2mmしか変わりません。
この程度でしたら「互換性があるのでは」と思われるかも知れませんが、結論から言うと互換性はありません。
これは、タイヤとリムの標準規格であるETRTO(エトルト)より判断できます。
ERTROは、欧州におけるタイヤとリムの標準規格で「European Tyre and Rim Technical Organisation」の略です。
タイヤの内径は、700Cの場合は622mm、27インチの場合は630mmとなっているため、互換性がないと判断できます。
ロードバイクとクロスバイクのホイールは交換可能
ロードバイクとクロスバイクでは、ホイールの交換ができます。
これは、ホイールの規格が同じだからですね。
また、ホイールのリムにタイヤをはめるリム規格も共通しているため同じタイヤが使えます。
このリム規格は、主に2つありますよ。
昔からイギリスやフランスで採用されていたのが、WO(ワイヤードオン)と言う規格で、アメリカで採用されていた規格がHE(フックドエッジ)です。
ロードバイクやクロスバイクの主流ホイール「700C」は、ほとんどWOになります。
この2つの規格を以下にまとめました。
規格名 | 採用されている主な自転車の種類 |
---|---|
WO(Wired-On) | ロードバイク、クロスバイク、シティーサイクル |
HE(Hooked-Edge) | マウンテンバイク、BMX |
WOの規格は、イギリス用とフランス用に更に分かれていて、ロードバイクはフランス規格、シティーサイクル(ママチャリ)はイギリス規格です。
尚、WOとHEの2つの規格には、互換性がありません。
フランス規格ではサイズの単位はmmだよ。イギリス規格のサイズの単位はインチだね。
まとめ
ホイールの規格「700C」について説明しました。
最後に本記事で説明した700Cについて、以下にまとめます。
- 700Cの「C」は規格の種類を表す記号であり、「cm」の「c」ではない
- 700Cの特徴は、「ペダルを一回転させた時に進む距離が長い」「スピードの維持がしやすい」「地面から受けるショックを抑えられる」であり、ロードバイクと相性はバッチリ
- 700Cと27インチは別物、互換性なし
- ロードバイクとクロスバイクは、ホイール交換ができる