ロードバイクのドロップハンドルは、フラットハンドルと違って多くの握り方ができます。
そのため、走るシチュエーションによって手の握り方を色々変えていくため、ライディングフォームが変化し、走りにも大きな影響がでてくることをご存じですか。
使い方自体は、とても簡単なので覚えてしまえば直ぐにでも役立ちますね。(適切な使い方が分かっていなければ、猫に小判ですよ。)
実際、ドロップハンドルは、ロードバイク以外にも使われていますが、特に長距離を長時間走ることが多いロードバイクには、必要アイテムといえるでしょう。
本記事では、ドロップハンドルの様々な握り方と、その握り方が役立つシチュエーションについて説明します。
ドロップハンドルの握る場所とは
ロードバイクの象徴とも言えるドロップハンドルですが、手で握る場所を変えることで上体の前傾を変えることができます。
つまり、上体の前傾を自分の意思で変えることで、様々なシチュエーションに適したライディングフォームを選択できる訳です。
ドロップハンドルの基本的な握る場所は、ブレーキや変速レバーの操作がしやすいブラケットになりますね。
この基本の握り方以外には、ドロップハンドルのフラットなところを握ることで上体がアップライトとなり、呼吸が楽にできる上ハンドル(通称:上ハン)がありますよ。
更に最も深い前傾姿勢を取ることができる下ハンドル(通称:下ハン)が使えます。
また、ブラケットと上ハンの中間的な位置づけとして、ブラケットの手前にあるハンドルが曲がり始めた部分を握ることもでき、この部分はショルダーと呼ばれていますね。
これらの握る場所を以下にまとめました。
尚、それぞれの握る箇所は以下のようになります。
特に下ハンは、円弧のように曲がっている部分とエンドバー付近を握ることで使い分けることができますよ。曲がっている部分を「アール」、エンドバー付近は「エンド」と呼んでいますね。
ドロップハンドルの全ての握り方を理解して、状況に応じたライディングフォームで走れるようになれば、より快適な走行ができるようになれます。
そこで、それぞれの握り方に適した使い方を説明します。
【ブラケット】ドロップハンドルの基本となる握り方
ブラケットとは、STIレバーの取り付け金具又はその位置であり、最も良く使用するポジションです。
ドロップハンドルの基本となるブラケットの握り方を説明すると、親指と他の指で挟むようにブラケットを持ちます。
その際、中指と人差し指の2本でブレーキレバーを引いたり、変速レバーの操作を行ないますね。
尚、人差し指1本のみでブレーキレバーを操作できますが、引く力が足りずブレーキの制動力が弱くなりがちなためお勧めはしません。
もし中指にレバーが届かない場合や力を入れることができない場合は、レバーの位置を調整しましょう。
人差し指のみでブレーキをかけていると、腕に力が入りがちになるため、上体が前のめりぎみになり、落車時に前転するリスクが高まるよ。
ブラケットを握って走れば、直ぐにブレーキをかけられる状態なため、交通の多い車道や飛び出しが多い路地、緩い下り坂など様々なシチュエーションに対応できるマルチポジションになります。
しかし、急勾配な下り坂には適していません。
急勾配の下り坂では、何度も強めにブレーキをかけていると、手に負荷がかかりすぎ握力が弱まるため、いざと言う時に咄嗟なブレーキを強くかけられず、重大事故へつながるケースがあります。
近年では、手が小さな女性にも扱えるように、小さ目なブラケットも販売されていますので、ブラケットが大きすぎると感じた場合は交換することも視野に入れると良いでしょう。
ブラケットの握り方(まとめ)
- 親指と他の指で挟むようにブラケットを持つ
- 中指と人差し指の2本でブレーキレバーを引いたいり、変速レバーを操作する
【上ハン・ショルダー】リラックスして走る場合に活用
上ハンドルとは、ドロップハンドルのフラット(直線)になっている部分です。
この部分を握れば、上体が起き上がり楽に呼吸ができるため、最もリラックスして走れます。
急ブレーキをかける必要がないシチュエーションで使うことが多いですね。
ドロップハンドルの形状を見ればわかりますが、ブレーキレバーから最も遠いところを握るため、安全な場所で使わないと危険です。そのため、下り坂で使うの絶対にやめましょう。
更に路地裏など人が飛び出しそうな場所を走る場合は、ブレーキレバーから指を話していると、咄嗟な飛び出しに対応できません。安全に走ることが第一なので、危険が伴うところでは使わないよう。
尚、上ハンに補助ブレーキの取り付けは可能なため、必要に応じて取り付けるのも有りですね。
上ハン以外にもリラックスして走れるポジションとして、ショルダーも活用できます。
ショルダーは、ブラケットの手前にあるドロップハンドルが曲がり始めた部分です。
上ハンドルと比べると上体が少し前傾になりますが、上ハンを握った時のポジションと比較して、ブレーキと変速がしやすいメリットがありますよ。
ちょうどブラケットとフラットな部分の中間に位置しているため、フラットでは近くブラケットでは少し遠いと感じた時に握るポジションとして効果的です。
個人的には、平坦路をリラックスして走る時に良く使っており重宝しています。
坂道でも活躍する上ハンの使い方
上ハンの使い方は、リラックスして走る時だけではありません。
坂道を上り続けていると、勾配の大きさにより呼吸が荒くなっていきますが、上ハンを握って走れば上がった呼吸を安定させたりできますね。
坂道で上ハンを握る時は、脇を締めて軽く握ることが大事です。特に自分の方へハンドルを引き付けるような走りをすれば、わずかですが加速ができます。
激坂では、元々スピードを出して走ることは無理であり、咄嗟なブレーキングは必要としないため、ブラケットへ握り直してブレーキをかけたとしても十分に間に合いますよ。
尚、坂道を上り続けていると、疲れにより頭が自然に下を向いてしまい、息がしずらくなります。そのため、頭を下げないよう意識して走りましょう。
【ホイールに関する話】
ロードバイクのホイールを軽くすると坂道を上るのが楽になりますね。そこでホイールに関するお話を下記記事で紹介します。
【下ハン(アール)】急勾配の坂道や長い坂道を下る時に活用
下ハンドルとは、ドロップハンドルの下に曲がっている部分のことで、先ほども触れましたが握り方が「アーム」と「エンド」で分かれます。
急勾配の坂道や長い坂道を下るシチュエーションでは、アームを握るのが最も少ない力でブレーキがかけやすくなるポジションです。
肘から手首が自然に伸びるところで、アームの緩い部分を軽く握って下さい。上体は深い前傾姿勢となりますが、中指を中心にハンドルを握れば肘が開くため、リラックスして走れます。
尚、アールの深い部分を持てば、呼吸が詰まりがちになったり、肘が曲がり過ぎたりして長く走るには向いていません。
ブレーキレバーを強く引きすぎると、車輪がロックすることもあるため、力加減に気を付けよう。
【ブレーキに関する話】
ブレーキは、自転車のスピードをコントロールする最重要部品ですね。ブレーキにトラブルがあると命の危険に関わるため日頃からしっかりとメンテナンスしましょう。下記記事では、ブレーキに関するお話をします。
【下ハン(エンド)】スプリントなどで最大パワーを引き出す
下ハンのエンド部を握ると、最も上体を前かがみにできるため、平坦路で空気抵抗を最大限に減少させて高速で走れます。
ロードレースなどのゴール前のスプリントで、選手たちがエンド部を握って、もがいているシーンをスポーツニュースなどで見られたことがある人も多いでしょう。
ただし、体ができていない内は辛いポジションとなるため、トレーニングを通じて徐々に体を慣らしていく必要があります。
ハンドルはガッチリ握らないことが基本
下ハンのエンド部を握って力の限り走る抜く時以外は、ハンドルはガッチリ握らないことが基本になります。
ガッチリ握れば、自然に肩へ力が入るため疲れてしまいますね。そのため、サイクリングなどの中長距離を走るには適していません。
もしサイクリング後に肩コリの症状が出ているのならば、手に無駄な力が入っている可能性があります。
無駄な力を入れた状態で走り続けていると、ライディングフォームもおかしくなっていくため気を付けましょう。
滑らないバーテープを選ぼう
ドロップハンドルには、バーテープを巻きますね。
このバーテープは、様々な種類が各メーカーから販売されていて迷ってしまいます。
基本的にバーテープを選ぶ時は、振動吸収性が高く、汗や雨などで手が滑りにくい物を選べば失敗しないです。
滑りやすいバーテープは扱いが難しく、うっかり滑らすとバランスを崩してしまい落車してしまうかも知れません。
まとめ
本記事では、ドロップハンドルの様々な握り方について説明しました。
最期にもう一度、本記事で説明した内容を以下にまとめます。
- ドロップハンドルは、主に以下の場所を握る
- ブラケット
- 上ハンドル(上ハン)
- 下ハンドル(下ハン)下ハンは「アール・エンド」の2箇所が握れる
- ショルダー
- ドロップハンドルの基本的な握る場所は、ブラケットである
- リラックスして走る場合に、上ハンやショルダーを握る
- 特に上ハンを活用すれば、坂道でもわずかに加速して走れるようになれる
- 下ハンのアールを握って走れば、急勾配の坂道や長い坂道を下る時に、最も少ない力でブレーキがかけやすい
- 下ハンのエンドを握って走れば、スプリントなどで最大パワーを引き出せて、平坦路を高速で走れる
- 下ハンのエンドを握って力の限り走る抜く時以外は、ハンドルはガッチリ握らないことが基本
ドロップハンドルは様々な握り方ができるため、上半身の角度が変わり、重心の位置も変わりますね。
そのため、複数のライディングフォームが取れるのが特徴です。
ドロップハンドルを使いこなして、快適な走り方を手に入れましょう。