ロードバイクで坂道を一気に駆け下りるダウンヒル。
プロでは100km/hのスピードを出す人がいたり、ホビーライダーでも60km/hならば簡単に出せたりしますね。
そのため、余りに速いスピードに恐怖心を感じるのも無理はありません。
安全にダウンヒルを行なうためには、様々なコツやテクニックがあり、身に付けることで恐怖心を克服して楽しめます。
本記事では、安全にダウンヒルを行なうためのコツを説明します。
ダウンヒルは安全に楽しもう
ロードバイクで穏やかな坂道を下って走るのは、楽しいですね。
あの何とも言えない滑空感が好きな方も多いのでは。
ダウンヒルはヒルクライムと違って、重力の力を借りて坂道を下って行くため、全く辛くありません。
しかし、急な勾配の下り坂では、スピードが出過ぎるため安全性に問題があり、時には重大事故に発展する可能性があります。
そこで、安全にダウンヒルを楽しむためのコツを、以下にまとめました。
これらについては、後で詳しく説明します。
ダウンヒル時に恐怖を感じるのは、ロードバイクを自分の制御下に置けていない証拠です。
これは人間が備わっている危険を感じ取る本能が警告を発しているので、素直に従った方が良いですよ。
恐怖心を感じないスピードまで落とし、ロードバイクを自分の制御下へ完全におければ、安全にダウンヒルができるようになります。
下り坂が怖い理由とは
ロードバイクで走行中に、急な坂道を下るのが怖いと思う時がありますね。
特にヒルクライムを終えた後の長い下りに恐怖を感じる人も少なくないでしょう。
下り坂は自然にスピードが出てしまうため、慣れないスピードにより、パニックになることも。
更にビンディングペダルを使用している場合は、とっさに地面に足を着けないのも恐怖をあおります。
また、速いスピードが平気な人は、「ペダルを漕がなくても、勝手に前へ進んでくれて最高!」と思えますが、それは落車したことがないから言えるのではないでしょうか。
一度でも落車してしまうと、事故の影響度によっては骨折などの大怪我をしてしまうため、トラウマになったりしますね。
ここまで説明した下り坂が怖い理由を以下にまとめました。
- スピードの速さに恐怖を感じる
- ビンディングペダルを使用していると、とっさに足を付けれない
- 過去の事故のトラウマ
ダウンヒルの基本
ダウンヒルの基本についてお話しすると、コーナーに入る前に減速して、コーナーでは軽くロードバイクを傾けます。
その際、ハンドル操作で曲がるのではなく、体重移動で曲がるイメージを意識しましょう。
例えば左に曲がるのでしたら、内側になる左手と外側になる右足に体重を掛けます。右へ曲がるのならばその反対に右手と左足に体重をかけます。
上体はバイクに対して真っすぐな状態を保つと意図した方向へ進んでいきますね。
しっかりとコーナーに入る前にスピードを減速していると、コーナーリング中はブレーキをかけない方が安定するよ。
ダウンヒルを楽しめるコツ
スピードは出し過ぎない
ダウンヒルで一番恐怖を感じるのがスピードを出し過ぎている時です。
初めからスピードを求めることは止めましょう。
特に初心者の内からスピードを求め出すと、事故に合う危険性が高まります。
ダウンヒルで重要なのは、スピードではなくライン取りですので、意識して怖さを感じないスピードまで減速しましょう。
特に初めて走る道の場合は、道路上のマンホールや段差、穴、ひび割れといった情報が全く分かっていないため、どこに危険が潜んでいるのか不明です。
そのため、自分で完全にロードバイクを制御できるスピードでなければ、一瞬の判断でバイクコントロールができません。
ブレーキは、スピードをコントロールする肝となる部品(パーツ)です。また、自分の命を預ける重要な部品なので、性能の高いブレーキを取り付けることをおすすめします。
ブレーキは早めにかける
先ほどもお話しましたが、ダウンヒルの基本は、コーナーに入る前にブレーキをかけて減速することです。
ダウンヒルで落車などの原因は、上手くスピードの減速ができず、コーナーを曲がり切れないからですね。
早めにブレーキをかけて、コーナーへ入る前には十分にスピードを落としましょう。
その際、気持ち的に少し余分なくらい減速していると安心感が高まります。
もしコーナーへ入る前に十分な減速ができていないと、コーナーリング中にブレーキをかける事になる。ただでさえ不安定なコーナーリング中に、ブレーキをかけると転倒しやすくなります。
後ろ寄りに乗る
ダウンヒルでは、特に何もしなくても荷重が前にかかるため、後輪側へ体重を移動しておくとスピードの減速時やコーナーリング時に車体が安定します。
そのため、いつもよりサドルに座る位置を後ろへ移動しましょう。
また、お尻を後ろへ移動して、少し浮かせるのも効果的です。
お尻を少し浮かせることで、ペダルにしっかりと荷重をかけてバランスを取るようになりますので、お尻より低い位置にある足でバランスを取る方が容易です。
予め後ろに重心を置くことで、急ブレーキでも体が安定します。
お尻を浮かせすぎると反対に不安定になるため、気を付けよう。
下ハンドルを握る
ダウンヒルでは、できるだけ下ハンドルを握るようにしましょう。
下ハンドルを握ることで、自然に重心は地面に近づきます。
また、テコの原理でブレーキが引きやすくなりますね。(これ重要)
余りスピードがでない坂道であれば、ブラケットを握ったままブレーキをかけても良いですが、スピードが出る坂道では、下ハンドルを使えないと、いざと言う時に急ブレーキを掛けれません。
尚、ブラケットに手を乗せたままで、絶えずブレーキをかけていると、握力の消費が大きいため、いざと言う時にブレーキを掛けれない可能性があります。
下ハンドルでロードバイクを操作するのは、それなりにコツが必要ですので練習をして身に付けましょう。
前方確認はしっかりする
ダウンヒルに限ったことではありませんが、自転車の操作中は視線を前に向けて前方確認をしっかりと取りましょう。
特にダウンヒル時は、スピードがでているため一瞬の判断力がより顕著になってきます。
進路や障害物、対向車の確認など絶えず情報を取得し、危険の有無について素早く判断しなければなりません。
また、車体のバランスを取るのにも視線を上げておくと効果があります。
坂道を下っている最中では、知らず知らずの内に視線が下がってしまいます。
地面ばかり見ていると、前方不注意で事故にあう可能性が高くなるため、意識してしっかりと前を向きましょう。
リラックスする
ロードバイクを含め全てのスポーツに言えることは、リラックスした状態でなければ最高のパフォーマンスを出すことは難しいです。
特に恐怖感を煽るようなダウンヒルでは、経験豊富な人ならともかく、初心者がいきなりリラックスしろと言うのも酷な話ですね。
地道なトレーニングを繰り返して、ダウンヒルに慣れていくしかありません。
上達に近道なしです。
リラックスができない原因の一つとして、ロードバイクのポジションが自分に合っていない可能性があります。
その場合は、必要に応じて自転車ショップなどで見てもらうと良いでしょう。
例えば、サドルの高さやステムの長さ、ブラケットの位置などポジションが最適化されることで、快適性がかなり変わります。
ライン取りを意識する
ライン取りとは、自転車の操作に無理がないよう道路のどの部分を走れば良いのか頭の中で走るコースを線でイメージを描き、描いた線のイメージの上を走行する技術です。
特にコーナーを曲がる時にライン取りの技術は重要になります。
レースではコーナーを曲がる時のセオリーは「アウト・イン・アウト」と言われていますが、公道を走る場合は、対向車が来ることを意識しなければならず、「アウト・イン・アウト」の考えでは危険がありますね。
「アウト・イン・アウト」とは、カーブを曲がるときに外から入り、中央でコーナーに再接近した後で、再び外へと抜けていく走法のことを言うね。
そこで、下記のようなライン取りで走る方が無難です。
- 【右側へ曲がる場合】
- 外(アウト)から入る
- 左車線の真ん中あたりで曲がる
- 再び外(アウト)へ抜ける
- 【左側へ曲がる場合】
- 中央(センター)から入る
- 内側(イン)で曲がる
- 内側(イン)へ抜ける
カーブの角度やその先の道なりによっては、最適なライン取りは変わってきますので、安全で適切なライン取りを行ないましょう。
車間距離を空ける
自分の前でダウンヒルをしている人がいる場合は、必ず車間距離を取りましょう。
自分の前に走っている人と距離が離れていないと、前の人が突然急ブレーキをかけた場合、衝突は避けられません。
路面状況やスピード、坂道の斜度により空ける車間距離はまちまちですが、安全面を考えると前へ走る人がどんな操作をしても直ぐに対応できる距離として、50m以上は空けておきたいですね。
長いダウンヒルでブレーキをかける時の注意点
ブレーキを長い間かけ続けていると、摩擦による熱が発生して温度が上昇していきます。
耐熱温度を越えた結果、ブレーキの制動力が低下して、ほぼ止まらない状況に陥ることもありえるのです。
このことは「フェード現象」と呼ばれています。
フェード現象が起こると、非常に危険なため、意識してブレーキをかけ続ける操作はしないようにしましょう。
例えば、1秒間隔でブレーキをしたり戻したりするような操作でも良い訳です。
ブレーキを戻している間に熱の冷却効果が得られるため、フェード現象を回避できます。
コツを学んで楽しくダウンヒルをしよう
楽しくダウンヒルを行なうためには、今回紹介したコツを身に付けて、ある程度のトレーニングが必要になってきます。
安全にダウンヒルができるようになれば、ヒルクライムと合わせて、よりロードバイクを好きになるに違いありません。
ダウンヒル時に事故が起こりやすいのも事実なので、特に安全面に注意を払い、楽しくロードバイクを乗り続けましょう。