自転車のタイヤは、沢山の種類やサイズがあり、どれを選んで良いのか迷いますね。
たとえば「タイヤを新調しようと思うのだけど、自分の自転車に使えるかな」といった疑問を持つ方も多いでしょう。実は、自転車の種類によってタイヤの規格が違っていて、同じサイズのタイヤでも使えないのが現実です。
それに、タイヤサイズの表記方法も複数あり、あらかじめ知っていないと欲しいタイヤが自分の自転車に適合するのか判断できません。後悔しないためにも、タイヤサイズの表記について絶対に学んだ方が良いですよ。
本記事では、タイヤサイズの規格とタイヤへの表記方法を説明します。
本記事を読んで、あなたの迷いが解決できれば幸いです。
自転車のタイヤサイズの規格とは
車やバイクのタイヤは、タイヤサイズの規格が統一されているので、非常にわかり易いですが、自転車は、複数の規格が混在しています。
自転車に限った話ではないですが、通常規格が複数あった場合、良く使用される規格へ自然に統一されていき、他の規格は淘汰又は縮小されることが多いですね。
しかし、自転車のタイヤの世界では、そのような事がなく、自転車の種類によっては規格が混在したりしているため非常にややこしいです。
そんなタイヤの規格ですが、以下の4つが挙げられます。
- WO規格
- HE規格
- BE規格
- チューブラー規格
この内、良く使われるのが「WO規格」と「HE規格」の2つですよ。なので、普段私たちが使用する規格はこの2つを覚えておくとよい。
それでは、それぞれのタイヤサイズの規格について説明します。
タイヤサイズの規格
WO規格
WO規格は「Wired On」(ワイヤードオン)の略です。
タイヤのビードワイヤーが、リムの上に乗っかるタイヤを表します。イギリスで生まれた規格であり、サイズの表記方法には、インチ(分数表記 事例:26×1 1/2)やミリメートルを使用している。
WO規格は、自転車全体の約80%を締めているよ。
ほとんどのママチャリやロードバイクのタイヤは、WO規格が適用されています。
また、WO規格でもサイズの表記方法には、イギリス式とフランス式の2つがありますが、日本国内のロードバイク事情では、フランス式が普及していますね。
タイヤサイズの単位にイギリス式は「インチ」を使用しているよ。フランス式の場合は「ミリメートル」を使用しているため、日本ではなじみ深いね。
インチとミリメートルが混在するため、サイズを確認するのにひと手間かかるのは仕方がありません。
HE規格
HE規格は「Hooked Edge」(フックドエッジ)の略です。
タイヤのビードワイヤーをリムの端に引っ掛けるタイヤを表します。アメリカの規格でサイズの表記方法には、インチ(小数点表記 事例:26×1.50)を使用している。
HE規格は、自転車全体の約20%を締めているよ。
HE規格は、もともとはマウテンバイクに採用されるタイヤの規格でしたが、現在では子供用自転車やBMXでも使用されています。
BE規格
BE規格は「Beaded Edge」(ビーデッドエッジ)の略です。
リムのふちの内側にタイヤビードをひっかけて、タイヤの内側にある耳がチューブを包み込むため、通称「耳つきタイヤ」と呼ばれたりしている。
BE規格のタイヤの特徴として、リム打ちパンクに強く、頑丈で荷重や悪路にも強く長持ちするタイヤですが、重量が重いという欠点があります。
最近では、ほとんど見かけない珍しいタイヤになってしまいました。
今では古い運搬用の実用車などに使用されているタイヤ規格だね。
チューブラー規格
チューブラー規格は、最も歴史が古い規格であり、現在では競技用自転車に使われているそうなので、一般的には気にする必要はないでしょう。
WO規格とHE規格の互換性について
WO規格とHE規格は同じインチ表示を使用していますが、全く互換性はないため注意が必要です。
サイズの数値だけで判断すると失敗するよ。
例えば以下のケースで考えてみましょう。
WO規格とHE規格で同じ26インチを表した場合、WO規格では分数表記(例:26 1 1/2)、HE規格は小数点表記(例:26×1.50)で同じ数値であるため、一見互換性があるように見えるのですが、実際は互換性はありません。非常にややこしいですね。
サイズ表記の見方
WO専用その1(事例:27×1 3/8)
事例の「27×1 3/8」で説明すると、「27」がタイヤの外径をインチで示していて、「1 3/8」がタイヤの幅をインチで表しています。
「1 3/8」は「いちとはちぶんのさん」と読むよ。
ママチャリのタイヤで良く見かける表記です。
WO専用その2(事例:700×25C)
事例の「700×25C」で説明すると、「700」がタイヤの外径をミリメートルで表していて、「25」はタイヤの幅をミリメートルで表しています。
尚、「C」はリムの大きさを表す記号で「A、B、C」の3種類がありますが、今では外径が700ミリメートルの場合、「C」の規格しか生き残っていません。
ロードバイクのタイヤで良く使用されています。
タイヤ系で表す場合は、単に「700C」や「650A」と呼ぶね。
もともとは、ツール・ド・フランスなどのレース界から誕生した表記のため、ロードバイクで使用されているのも納得ですね。
たとえ同じ外径でもリムの大きさが変われば別物になるため、「650A ≠ 650B ≠ 650C」のように互換性はありません。
【ホイールに関する話】
ロードバイクのホイールは700Cが多いですね。下記記事では、ホイールに関する話を紹介します。
HE専用(事例:26×1.50)
事例の「26×1.50」で説明すると、「26」がタイヤの外径をインチで表し、「1.50」がタイヤの幅をインチで表しています。
HE規格では、タイヤ幅を小数点で表記するルールがあるよ。
主にマウンテンバイクで使用されている表示方法です。
ETRTO(事例:28-622)
タイヤの規格や表記方法が複雑になっているため、ETRTO(エトルト)はこのような混乱を解決するために用いられている表示方法です。
ETRTOは「European Tyre and Rim Technical Organisation」の略ですね。ヨーロッパのタイヤメーカーとホイールメーカーにより組織された団体であり、規格の統一を目的にしているよ。
事例の「28-622」で説明すると、「28」がタイヤの幅をミリメートルで表し、「622」はタイヤのビートワイヤーの直径をミリメートルで表しています。
今では、WO規格とHE規格のタイヤ両方にETRTO表記がされているため、非常に分かりやすくなりした。
世界中の人が表記の混雑さに困っていたんだね。現在作られているタイヤには、必ずETRTOによるサイズ表記がされているよ。
タイヤの互換性を確認するときは、ETRTO表記を確認すれば一目瞭然です。
自転車の車種別によるタイヤ表記
ロードバイク
ロードバイクは、700Cサイズが主流であるため、タイヤ幅だけを確認することになります。
尚、女性など小柄な人が乗るロードバイクのフレームサイズは、小さい物があり、それに応じて650Cを採用する場合がありますので、必ずしもタイヤ幅だけを確認すれば良いという訳ではありません。
ロードバイクのタイヤサイズの表記事例を下表に示します。
一般的な呼び方 | WO専用その1 の表示形式 | WO専用その2 の表示形式 | HE専用 の表示形式 | ETRTO の表示形式 |
---|---|---|---|---|
700C | ー | 700×23C | ー | 23-622 |
700C | ー | 700×25C | ー | 25-622 |
650C | 26×7/8 | 650×23C | ー | 23-571 |
【ロードバイクの楽しみ方】
ロードバイクに新しいタイヤを履かせて、依然と乗り比べをするのは楽しいですね。下記記事ではロードバイクの楽しみ方について紹介します。
クロスバイク
WO規格とHE規格が混在しているため、サイズ確認はETRTO形式で行うのが無難です。
インチで確認しようとすると、WO規格とHE規格で表記方法が異なるため、混乱の元になるよ。
もともとクロスバイクは、ロードバイクとマウンテンバイクの良いとこ取りの自転車なので、両方のタイヤが使用できるメリットがあります。
クロスバイクのタイヤサイズの表記事例を下表に示します。
一般的な呼び方 | WO専用その1 の表示形式 | WO専用その2 の表示形式 | HE専用 の表示形式 | ETRTO の表示形式 |
---|---|---|---|---|
700C | ー | 700×28C | ー | 28-622 |
700C | ー | 700×32C | ー | 32-622 |
26インチ | ー | ー | 26×1.50 | 38-559 |
26インチ | ー | ー | 26×1.90 | 48-559 |
【自転車のアイテム紹介】
自転車に役立つ様々なアイテムを、下記記事で紹介します。
マウンテンバイク
クロスバイク同様、WO規格とHE規格が混在しているため、サイズ確認はETRTO形式で行うのが無難です。
マウンテンバイクのタイヤは、例外的なサイズ表記も存在するため注意が必要だよ。
普通サイズのビート径559ミリメートルならば、WO規格の26インチと間違わなければ問題はありません。
マウンテンバイクのタイヤサイズの表記事例を下表に示します。
一般的な呼び方 | WO専用その1 の表示形式 | WO専用その2 の表示形式 | HE専用 の表示形式 | ETRTO の表示形式 | 例外的なWO の表記形式 |
---|---|---|---|---|---|
26インチ | ー | ー | 26×1.90 | 48-559 | |
26インチ | ー | ー | 26×2.10 | 53-559 | |
27.5インチ | ー | 650×50B | ー | 50-584 | 27.5×2.0 |
29インチ | ー | 700×57C | ー | 57-622 | 29×2.25 |
WO規格である27.5インチと29インチでは、HE規格で使用している小数点による表記が存在しています。
ミニベロ
ミニベロは、WO規格とHE規格が混在しており、サイズ確認は必ずETRTO形式で行いましょう。
その昔は、ほとんどがHE規格でしたが、ある時を境に急激にWO規格が大頭してきました。
また、ミニベロの世界では、独自規格がまかり通っています。
例えば、大手であるブロンプトンとモールトンの話をすると、ブロンプトンはWO規格の16インチで、モールトンは独自規格の17インチを使用していますね。
一般に販売されている16インチは、ほとんどHE規格の物なので、単純に16インチの表記だけを見てタイヤを購入すると失敗するよ。
また、ダホンはHE規格の20インチを使用しており、WO規格にも20インチがあるため混乱に拍車をかけます。
そのため、タイヤを交換する時は、ETRTO形式でタイヤサイズを確認しないと失敗する可能性が高まりますね。
ミニベロのタイヤサイズの表記事例を下表に示します。
一般的な呼び方 | WO専用その1 の表示形式 | WO専用その2 の表示形式 | HE専用 の表示形式 | ETRTO の表示形式 |
---|---|---|---|---|
16インチ | 16×1 3/8 | ー | ー | 37-349 |
18インチ | ー | ー | 18×1.25 | 32-355 |
20インチ | 20×1 1/8 | ー | ー | 28-451 |
20インチ | ー | ー | 20×1.25 | 32-406 |
ランドナー
ランドナーは、WO規格とHE規格が混在しています。
尚、古い歴史と伝統が息づくカテゴリーのため、ETRTO形式の表記がないタイヤも存在しますので、注意が必要です。
ランドナーのタイヤでは、特に650Aと650Bが混同されがちだね。650Bは特殊なサイズなので注意しよう。
ランドナーのタイヤサイズの表記事例を下表に示します。
一般的な呼び方 | WO専用その1 の表示形式 | WO専用その2 の表示形式 | HE専用 の表示形式 | ETRTO の表示形式 |
---|---|---|---|---|
26インチ | 26×1 3/8×1 1/2 | 650×38A | ー | 38-590 |
26インチ | 26×1 1/2×1 1/2 | 650×38B | ー | 38-584 |
26インチ | ー | ー | 26×1.50 | 38-559 |
27インチ | 27×1 1/4 | ー | ー | 28-630 |
ママチャリ、電動アシスト自転車
ママチャリや電動アシスト自転車の基本サイズは、WO規格の26インチと27インチになります。
尚、多くの車種が存在するため、様々なタイヤが使用されていますね。
電動アシスト自転車や子供乗せ専用自転車には、例外的なサイズもあるよ。
前輪と後輪で径が異なっていたり、特殊な専用タイヤしか選択できなかったりするね。
そのため、タイヤの交換時には、サイズの確認をしっかりと行なう必要があります。
自分でサイズの確認をする自信がない場合は、自転車ショップの店員へ相談しましょう。
ママチャリと電動アシスト自転車のタイヤサイズの表記事例を下表に示します。
一般的な呼び方 | WO専用その1 の表示形式 | WO専用その2 の表示形式 | HE専用 の表示形式 | ETRTO の表示形式 |
---|---|---|---|---|
24インチ | 24×1 3/8 | ー | ー | 37-540 |
26インチ | 26×1 3/8 | ー | ー | 37-590 |
26インチ | ー | ー | 26×1.50 | 38-559 |
27インチ | 27×1 3/8 | ー | ー | 37-630 |
【ママチャリに役立つ話】
ママチャリに役立つ話を、下記記事で紹介します。
まとめ
自転車のタイヤ規格は本当に複雑ですね。
タイヤの交換時には、規格に注意してタイヤを購入しなければ、自分の自転車に装着できない悲しい事態に陥るやも知れません。
自転車の車種により、サイズの表記方法は様々ですので、ETRTO形式を使用すれば、非常に分かりやすく混乱することはないでしょう。
ロードバイクの場合は「700C」を使用していれば、タイヤの幅だけを気にすれば良いので判断は簡単だね。(例:700×25C)
適切なタイヤに交換しても、適正な空気圧を入れなければタイヤの性能は全く発揮されないばかりか、寿命を縮めてしまう要因になります。
折角、新調したタイヤなので、できるだけ長く使い続けたいですね。
自転車のタイヤの世界は、複雑なので自分でタイヤを選択できない場合は、自転車ショップの店員へ相談すると良いでしょう。